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最終更新日(本文):2011年03月20日
(2010年4月21日から)

13.スタウト


3月1日暫定オープン!

13A.ドライ・スタウト

アロマ:コーヒーのようなロースト麦やロースト・モルトのアロマが顕著で、わずかにチョコレート、ココア、穀物と言った副次的な特徴が感じられることもある。エステルは中弱〜無し。ダイアセチルは無し。ホップ・アロマは弱〜無し。

外観:漆黒〜濃い茶色で深紅の輝きがある。不透明なこともある(でなければ透明)。厚く、クリーミーで長く残る、タン〜茶色の泡が特徴的。

フレーバー:中程度のロースト、穀物のシャープさ、加えて軽〜中程度の酸による酸味がある場合もあり、中〜強いホップの苦味。ドライ、コーヒーのようなフィニッシュで、ローストした穀物由来。ほろ苦いまたは甘味の加えていないチョコレートの特徴が口に広がり、フィニッシュまで残る。それにつり合うようにクリーミーさ、中弱〜無のフルーティさ、中〜無のホップ・フレーバ等も感じられる。ダイアセチルは無し。

マウスフィール:ミデアム・ライト〜ミデアム・フルのボディでクリーミーな特徴。弱〜中の炭酸。高いホップの苦味と濃色グレインがかなり入っている割には非常にスムースである。比重の低いビールはボディが軽いと言う風にボディ感は全体的な比重の影響を受ける。ローストしたグレイン由来の軽い酸味が感じられることがあるが、ザラザラ感は望ましくない。

総合印象:非常に色の濃い、ロースティで苦いクリーミーなエール。

歴史:ロンドン・ポーターの成功に乗じようとして進化したスタイルだが、もともとはよりフル、よりクリーミー、より“スタウト[=強い]”なボディと強さを反映していた。ブルワリーがスタウトやポータを提供する時、スタウトは常により強いビール(もともと“スタウト・ポーター”と呼ばれていた)を指していた。現代では低めの初期比重で醸造され、もはやポーターより強力という意味は無い。

コメント:これは他の言い方ではアイリッシュ・スタウトまたはアイリッシュ・ドライ・スタウトとして知られるビールのドラフト版である。瓶詰め版はより高い比重で作られるのが典型的で、フォーリン・エクストラ・スタウト(十分に強い場合)と呼ばれることもある。大部分の市販品ではダーク・グレインとしてロースト大麦を主としているが、チョコレート・モルト、ブラック・モルトまたは三種の混合が使われることもある。ロースト感やフィニッシュのドライ感と同様、苦味の強度にはやや幅があるので、醸造側の解釈を考慮すること。

原料:ドライさの由来はペール・モルトに加えてモルト化していないロースト大麦を使っていること、中〜強いホップの苦味、十分な発酵である。フレーク化したモルト化していない大麦もまたクリーミーさを加えるのに使われる。複雑さを出すために低い割合(おそらく3%程度)の酸っぱいビールが加えられることもある(通常はギネスだけ)。典型的には中くらいの炭酸塩を含んだ水で、高レベルだと伝統的なドライ・フィニッシュは出ない。

諸元:OG:1.036 - 1.050, FG:1.007 - 1.011, IBUs:30 - 45, SRM:25 - 40, ABV:4 - 5%

市販例:Guinness Draught Stout (also canned)*, Murphy's Stout*, Beamish Stout*, O'Hara's Celtic Stout, Russian River O.V.L. Stout, Three Floyd's Black Sun Stout, Dorothy Goodbody's Wholesome Stout, Orkney Dragonhead Stout, Old Dominion Stout, Goose Island Dublin Stout, Brooklyn Dry Stout [*印は日本で入手可能なもの]

2010年03月17日更新

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13B.スイート・スタウト

アロマ:穏やかなロースト・グレイ・アロマ、時にはコーヒーやチョコレートの特徴を伴う。多くはクリームの様な甘い感じがある。フルーティさは弱〜やや強。ダイアセチルは弱〜無。ホップ・アロマは弱〜無。

外観:非常に濃い茶〜黒色。不透明なこともある(そうでなければ透明)。クリーミーなタン〜茶色の泡。

フレーバー:ドライ・スタウトに見られるように濃いロースト・グレインおよびモルトがフレーバーを支配的し、コーヒーやチョコレートのフレーバーを醸す。ホップの苦味は中(ドライ・スタウトよりは弱い)。中〜強い甘味(多くはラクトースの添加によるもの)がロースト風味やホップの苦味とは対照的なフレーバーを与え、それが最後まで残る。弱〜中のフルーツ・エステル。ダイアセチルは弱〜無し。ダーク・グレイン/モルトと甘味のバランスには幅があり、極めて甘い〜中程度にドライでややロースティ。

マウスフィール:ミデアム・フル〜フル・ボディでクリーミー。弱〜中の炭酸。非発酵の糖による高残糖感が強い味わいのマウスフィールを増強する。

総合印象:非常に色濃く、甘い、フル・ボディ、かすかにロースティなエール。多くは甘くしたエスプレッソの味。

歴史:スタウトの英国スタイル。歴史的には“ミルク”または“クリーム”・スタウトと知られ、英国では法律上この呼称はもはや許されていない(がどこでも通用する)。“ミルク”はラクトースやミルク・シュガーを甘味料として使用することに由来。

コメント:英国では比重が低いものの、輸出向け製品または米国製品は高めである。残糖の量、ロースト風味の強さ、その二つのバランスにより派生種が存在し、その変化量は[スタイルの]解釈による。

原料:ほとんどのスイート・スタウトの甘味はドライ・スタウトよりも弱い苦味および高い割合で非発酵のデキストリンが存在することに由来する。非発酵の糖であるラクトースは残糖感を多くするために頻繁に使われる。ペール・モルトをベースにロースト・バーレイ、ブラック・モルト、チョコレート・モルト、クリスタル・モルト、そしてメイズや糖蜜(treacle)といった副原料が使われる。高炭酸塩の水を使うのが普通

諸元:OG:1.044 - 1.060, FG:1.012 - 1.024, IBUs:20 - 40, SRM:30 - 40, ABV:4 - 6%

市販例:Mackeson's XXX Stout, Watney's Cream Stout, Farson's Lacto Stout, St. Peter's Cream Stout, Marston's Oyster Stout, Sheaf Stout, Hitachino Nest Sweet Stout (Lacto)*, Samuel Adams Cream Stout, Left Hand Milk Stout, Widmer Snowplow Milk Stout [*印は日本で入手可能なもの]

2010年03月17日更新

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13C.オートミール・スタウト

アロマ:穏やかなロースト・グレイン、多くはコーヒーの様な風味を伴う。軽い甘味がコーヒー&クリームを思わせる。フルーティさは弱〜中。ダイアセチルは中弱〜無し。ホップ・アロマは弱〜無し(英国種が最も一般的)。軽いオートミールのアロマがあることもある。

外観:中庸な茶〜黒色。厚く、クリーミーで、持ちの良いタン〜茶色の泡。不透明なこともある(そうでなければ透明)。

フレーバー:中程度の甘さ〜中程度の味覚で、オーツ麦や濃色のローストしたグレインの複雑さがある。オーツ麦はナッツ、穀物、土のようなフレーバーを出すこともある。濃色のグレインはモルトの甘味と一緒になることでミルク・チョコレートやクリーム入りコーヒーといった感じになる。中程度のホップの苦味でモルト側に傾いたバランス。ダイアセチルは中弱〜無し。ホップ・フレーバーは中弱〜無し。

マウスフィール:ミデアム・フル〜フルのボディで、スムース、舌ざわりが良く、時にオートミール由来のほとんどオイルの様な滑らかがある。クリーミー。中〜中強の炭酸。

総合印象:非常に色濃く、フルボディ、ロースティ、モルティなエールにオートミールのフレーバーが補助的に加わる。

歴史:スイート・スタウトの英国における季節醸造で、多くの場合オリジナルよりも甘味が弱く、ボディと甘味を付けるラクトースでなく、ボディと複雑さを付けるオートミールを用いたもの。

コメント:スイート・スタウトとドライ・スタウトの中間の甘さが一般的。かなり甘いものから極めてドライものまで派生種がある。オートミール感が変わるにつれ苦味のレベルも変化する。オートミールを少し使うとボディに若干の舌ざわりの良さとフレーバーに濃厚さが、たくさん使うとかなり強烈なフレーバーとほとんどオイルの様なマウスフィールが加わる。審査時は解釈による違いを考慮すること。

原料:ペール、カラメル、濃色ロースト・モルトと穀類。ボディの豊かさとフレーバーの複雑さを増強するためにオートミールが(5〜10%強)使われる。ホップは主としてビタリングに使われる。エールイースト。水は炭酸塩による硬水。

諸元:OG:1.048 - 1.065, FG:1.010 - 1.018, IBUs:25 - 40, SRM:22 - 40, ABV:4.2 - 5.9%

市販例:Samuel Smith Oatmeal Stout*, Young's Oatmeal Stout*, McAuslan Oatmeal Stout, Maclay's Oat Malt Stout, Broughton Kinmount Willie Oatmeal Stout, Anderson Valley Barney Flats Oatmeal Stout, Tröegs Oatmeal Stout, New Holland The Poet, Goose Island Oatmeal Stout, Wolaver's Oatmeal Stout [*印は日本で入手可能なもの]

2010年03月17日更新

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アドバンストブルーイング

13D.フォーリン・エクストラ・スタウト

アロマ:ロースト・グレインのアロマは中〜強で、コーヒやチョコレート、軽い焦げの感じがある。フルーツさは中〜強。甘いアロマやモラセス、リコリス、ドライ・フルーツ、ワインと言った芳香がする製品もある。強いものではアルコールの香り(鼻についたり刺激的であったり有機溶剤のようではない)。ホップ・アロマは弱〜無し。ダイアセチルは弱〜無し。

外観:非常に濃い茶色〜黒色。濃い色なので通常、透明度はハッキリとしない(不透明でなければクリアー)。大きな持ちの良いタン色〜茶色の泡。

フレーバー:熱帯版は極めて甘くローストや苦味がほとんどない一方、輸出版はややドライ(スイート・スタウトまたはドライ・スタウトをそのまま強くした感じを反映している)。ロースト・グレインとモルトの特徴を中〜強く感じるが、ドライ・スタウトのシャープさはどんな製品にも表れていない。熱帯版は強いフルーツ・エステル、スムースなダーク・グレインのフレーバー、控え目な苦味で、多くは甘いラム酒の様な資質がある。輸出版はエステルが弱く、ロースト・フレーバーがハッキリとしており、苦味が強い傾向。どちらのロースト・フレーバーもコーヒー、チョコレートあるいは軽く焦げたグレインと言った感じがある。ホップ・フレーバーは殆どあるいは全く無し。ダイアセチルは非常に弱い〜無し。

マウスフィール:ミデアム・フル〜フルのボディで、多くはスムース、クリーミーと言った特徴がある。アルコールがあるので暖まるような(しかし舌がひりひりしない)感じがある。中〜やや強い炭酸。

総合印象:非常に濃い色の、やや強い、ロースティなエール。熱帯版は極めて甘いのに対し、輸出版はドライで割と強い。

歴史:熱帯市場向けに作られた高比重スタウトが起源(それゆえ“トロピカル・スタウト”として知られていることがある)。ドライまたはスイート・スタウトの瓶詰めされたエクポート(=より強い)版もこの特徴に当てはまる。ギネス・フォーリン・エクストラ・スタウトは1800年初頭から作られている。

コメント:スタウトのやや広い種類で、フルーティで甘かったり、ドライで苦かったり、ブレタノマイセスが感じられたり(例えばギネス・フォーリン・エクストラ・スタウト。この種のビールはカテゴリー23のスペシャルティ・ビールとしてエントリーするのが最善)する。ドライ・スタウトやスイート・スタウトを強くしたスタイルまたはインペリアル・スタウトを弱めレイト・ホップを省いたスタイルのどちらともみなせる。苦味が強くホッピーな作品はアメリカン・スタイル・スタウト(13E)としてエントリーするのが最善。

原料:ドライまたはスイート・スタウトと同様だが初期比重はより高い。ペールおよびダークなロースト・モルトとグレイン。ホップは主に苦味に使われる。比重を上げるために副原料や砂糖が使われることもある。エール・イースト(とは言えラガー・イーストを使って作られるトロピカル・スタウトもある)。

諸元:OG:1.056 - 1.075, FG:1.010 - 1.018, IBUs:30 - 70, SRM:30 - 40, ABV:5.5 - 8%

市販例:熱帯タイプ: Lion Stout (Sri Lanka)*, Dragon Stout (Jamaica), ABC Stout (Singapore), Royal Extra “The Lion Stout” (Trinidad), Jamaica Stout (Jamaica), 輸出タイプ: Freeminer Deep Shaft Stout, Guinness Foreign Extra Stout (bottled, not sold in the US)*, Ridgeway of Oxfordshire Foreign Extra Stout, Coopers Best Extra Stout, Elysian Dragonstooth Stout [*印は日本で入手可能なもの]

2010年03月18日更新

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残りわずかとなりました。注文はお早めに!

13E.アメリカン・スタウト

アロマ:ロースト・モルトの中〜強いアロマ、多くの場合ローストしたコーヒまたはダーク・チョコレートの資質がある。焦げや炭のアロマは弱〜無し。中〜非常に弱いホップ・アロマは多くの場合柑橘または樹脂の様なアメリカン・ホップの風味がある。エステルがあっても良いが、中程度の強さまでであること。軽いアルコール由来の芳香もまたあっても良い。ダイアセチルは無し。

外観:一般的には漆黒だが非常に濃いブラウンの製品もある。大きく、持ちの良い泡で、薄いタン色〜薄い茶色。たいていは不透明。

フレーバー:中〜非常強いロースト・モルトのフレーバーで、多くはコーヒー、ローストしたコーヒー豆、ブラックまたはほろ苦いチョコレートの味。わずかに焦げたコーヒーを挽いたフレーバーが感じられる場合もあるが、あったとしても顕著であってはならない。弱〜中のモルトの甘味で、多くは濃厚なチョコレートまたはカラメル・フレーバーを伴う。中〜強い苦味。ホップのフレーバーは弱〜強で、一般的には柑橘や樹脂のようなアメリカ種を反映する。軽いエステルが存在することもあるが必要不可欠ではない。中〜ドライなフィニッシュ、時に軽く焦げた特徴がある。ミデアム・レベルまでのアルコールのフレーバーがあっても良いがスムースであること。ダイアセチルは無し。

マウスフィール:ミデアム〜フル・ボディ。マウスフィールを高める目的で少量のオーツ麦が使われる場合は特に、ややクリーミーなこともある。ロースト由来の収斂味がわずかに感じられることもあるが、過度であってはならない。中強〜強い炭酸。弱〜やや強いアルコールによる暖かみがあるが、スムースであり、過度に刺激的であってはならない。

総合印象:ホッピー、苦い、強力にローストされた(輸出用の)フォーリン・スタイル・スタウト。

コメント:ロースト・モルトの特徴、モルトの甘味とフレーバー、使われたフィニッシュ・ホップの量の違いがブルワリーによる個性となっている。他の伝統的なスタウトと比べて、ローストしたモルト・フレーバーおよびホップが強い(インペリアル・スタウトを除く)。

原料:普通のアメリカンなベース・モルトとイースト。カラメル型モルト同様、ダークおよびロースト・モルトが多彩に使われる。オートミールのような副原料も使われるが少量。アメリカン・ホップ種。

諸元:OG:1.050 - 1.075, FG:1.010 - 1.022, IBUs:35 - 75, SRM:30 - 40, ABV:5 - 7%

市販例:Rogue Shakespeare Stout*, Deschutes Obsidian Stout, Sierra Nevada Stout, North Coast Old No. 38, Bar Harbor Cadillac Mountain Stout, Avery Out of Bounds Stout, Lost Coast 8 Ball Stout, Mad River Steelhead Extra Stout [*印は日本で入手可能なもの]

2010年03月18日更新

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13F.ロシアン・インペリアル・スタウト

アロマ:濃厚で複雑、ロースト・グレイン、モルト感、フルーツ・エステル、ホップ、アルコール等は変動して一様でない。ロースト・モルトの特徴はコーヒーやダーク・チョコレート、わずかに焦げた感じを帯びており、軽〜やや強い。モルト・アロマは微妙〜濃厚でバーレイ・ワインの様なものまであり、比重や穀類の構成による。わずかにスペシャルティ・モルトの特徴(例えばカラメル・モルト)があっても良いが、複雑さを加味する程度で著しく目立ってはならない。フルーツ・エステルは弱〜やや強く、複雑でダーク・フルーツ(例えばプラム、プルーン、レーズン等)の特徴を帯びている。ホップ・アロマは非常に弱〜かなり強烈なものまであり、どんなホップ種が使われていても良い。アルコールの特徴があるが、シャープ、刺激的、シンナーのようであってはならない。熟成したものはわずかにワインやポートワインの様な資質があるが、酸っぱくはない。ダイアセチルは無し。バランスは中心となるアロマ成分によって変わる。ここで挙げたアロマが全て含まれている必要は無く、様々な解釈ができる。熟成は芳香の強さ、バランス、スムースさに影響する。

外観:色は非常に濃い赤みがかった茶色〜漆黒。不透明。濃いタン色〜濃い茶色の泡。通常は良く形成された泡だが、泡持ちは悪い〜中程度。アルコールや粘度の高いものではビールをグラスの中で回した時に“脚”が見られる。

フレーバー:濃厚、深み、複雑で多くは極めて強烈で、ロースト・モルト/グレイン、モルト感、フルーツ・エステル、ホップの苦味とフレーバー、アルコール等は変動して一様でない。中〜強烈に強い苦味。中弱〜強いホップ・フレーバー(どんな種でも)。中〜強烈に強いロースト・モルト/グレインのフレーバーがビタースイートまたは無糖のチョコレート、ココア、ストロング・コーヒー等を思わせる。わずかな焦げたグレイン、焦げた干しぶどう[currant:フサスグリ]、タールのような特徴が顕著。フルーツのエステルは弱〜強で、ダーク・フルーツ(レーズン、プラム、プルーン等)の特徴を帯びている。モルトの骨格が濃厚でバーレイ・ワインらしさと釣り合いかつそれを支え、カラメル、パン、トーストと言った脇役を感じさせることもある。アルコールの強さは顕著であるが、刺激的、シャープ、シンナーのようであってはならない。ダイアセチルは無し。味覚とフィニッシュは比較的ドライ〜やや甘いまでおよび、通常はローストさやホップの苦味、暖まるような感じが尾を引く。フレーバーのバランスと強さは熟成によって変化し、時間の経過や熟成によってフレーバーが和らいだり、ワインやポート・ワインの様な特色が出たりする。

マウスフィール:フル〜非常にフルなボディで噛みごたえがあり、なめらかで非常に風味の良い舌触り(長いコンディショニングではボディが低下する)。アルコール由来の穏やかでスムースな暖かみがあり、それが顕著であること。シロップの様であったり低発酵でないこと。炭酸は弱〜中で、熟成とコンディショニングに依存する。

総合印象:強力なフレーバー、強力、ダーク・エール。ローストさ、フルーツ感、ほろ苦さに、顕著なアルコール感を伴う。ロースティ、焦げあるいはタールの様な感じが融合したダーク・フルーツのフレーバー。あらゆる特徴のフレーバーが入った黒いバーレイワインと言った感じ。

歴史:バルト諸国およびロシアに輸出するためにイングランドにおいて高比重かつ高ホップ比率で作られた。ロシア帝国宮廷で人気を博した言われている。今日ではアメリカのクラフト・ブルワー達の間でさらに人気が高まっており、彼らこそこのスタイルにアメリカ特有の風味を加えて拡張した張本人達である。

コメント:英国風やアメリカ風に解釈した派生種が存在する(言葉どおり、アメリカ風は苦味、ロースト風味、フィニッシュ・ホップ等が強く、英国風はより複雑なスペシャルティ・モルトの風味と全面に出たエステルの特徴を示す)。許容される特徴の範囲が広いのでブルワーは最高に創造性を働かすことが可能。

原料:良く発芽したペール・モルトに、相当量のロースト・モルトやグレイン。ほとんどどんな種類のモルトも使われる複雑な穀物原料。どんなタイプのホップも使われる。アルカリ性の水が原料内に多量に含まれるロースト・グレインの酸とつり合う。アメリカンまたはイングリッシュ・イースト。

諸元:OG:1.075 - 1.115, FG:1.018 - 1.030, IBUs:50 - 90, SRM:30 - 40, ABV:8 - 12%

市販例:Three Floyd's Dark Lord, Bell's Expedition Stout, North Coast Old Rasputin Imperial Stout*, Stone Imperial Stout, Samuel Smith Imperial Stout, Scotch Irish Tsarina Katarina Imperial Stout, Thirsty Dog Siberian Night, Deschutes The Abyss, Great Divide Yeti, Southampton Russian Imperial Stout, Rogue Imperial Stout*, Bear Republic Big Bear Black Stout, Great Lakes Blackout Stout, Avery The Czar, Founders Imperial Stout, Victory Storm King, Brooklyn Black Chocolate Stout [*印は日本で入手可能なもの]

2010年03月19日更新

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