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最終更新日(本文):2011年03月20日
(2010年4月21日から)

17.サワー・エール


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17A.ベルリナー・ヴァイス

アロマ:強烈な酸味(サワー)、やや酸性(アシディック)の特徴が支配的。ほど良いまでのフルーツの特徴があっても良い。フルーツ感は熟成とともに増大し、花のような特徴が生じることもある。穏やかなブレタノマイセスのアロマが表れている。ホップ・アロマ、ダイアセチル、DMSは無し。

外観:非常に薄い麦色。透明度は透明〜やや曇りまで。大きく、緻密な、白い泡で、持ちは良くないが、これは強い酸性度とタンパク質やホップをあまり含まないことによる。常に発泡性。

フレーバー:クリーンな乳酸の酸味(サワー)が支配的で極めて強いこともあるが、ランビックほど酸性(アシディック)ではない。補完的なパンまたは穀物的な小麦のフレーバーが一般的には顕著。ホップの苦味は非常に弱い。控えめなフルーツ感についても同様、穏やかなブレタノマイセスの特徴が感じられることもある(両方とも任意)。ホップ・フレーバーは無し。ダイアセチルまたはDMSは無し。

マウスフィール:ライト・ボディ。非常にドライなフィニッシュ。非常に強い炭酸。アルコール感は無し。

総合印象:非常に薄く、酸味(サワー)のある、爽やかな、低アルコールの小麦エール。

歴史:ベルリン地域の特産で、その生きの良さと上品な特徴から1809年にナポレオン軍に“北のシャンパン”と言わしめた。たった二軒の由緒ある醸造所だけが今なお生産している。

コメント:ドイツでは初期比重が7-8プラトーの範囲にあるスモール・ビールを意味するシャンクビアに分類される。相当な酸味(サワー)を和らげるために、ラズベリー(‘himbeer’)またはクルマバソウ(‘waldmeister’)のフレーバー付きの砂糖シロップ(‘mit schuss’)を加えたり、ピルスと混ぜて提供されることが多い。世界で最も混じり気なく爽やかなビールであると言われている。

原料:小麦モルト含有量が穀物原料の50%であるのが典型的(全てのジャーマン・ウィート・ビアと同じ)で、残りはピルスナーモルト。上面発酵イーストとラクトバシルス・デルブリュッキによる共生発酵が鋭い酸味(サワー)を生み、その酸味は発酵中に異なる年数のビールを混ぜ合わせることや長期にわたる低温熟成によって増すことがある。ホップの苦味は極端に弱い。シングル・デコクション・マッシュにマッシュ・ホッピングが伝統的。

諸元:OG:1.028 − 1.032, FG:1.003 − 1.006, IBUs:3 − 8, SRM:2 − 3, ABV:2.8 − 3.8%

市販例:Schultheiss Berliner Weisse, Berliner Kindl Weisse*, Nodding Head Berliner Weisse, Weihenstephan 1809 (アルコール5%は珍しい), Bahnhof Berliner Style Weisse, Southampton Berliner Weisse, Bethlehem Berliner Weisse, Three Floyds Deesko [*印は日本で入手可能と思われるもの]

2010年04月23日更新

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3月1日暫定オープン!

17B.フランダース・レッド・エール

アロマ:複雑なフルーツ感とそれを補完するモルト。フルーツ感は強く、ブラック・チェリー、オレンジ、プラム、赤フサスグリを思わせる。バニラやチョコレートの風味のすることが多い。スパイス的なフェノールが複雑さを出すために少量あっても良い。酸味(サワー)、酸性(アシディク)のアロマは補完的〜強烈に及ぶ。ホップ・アロマは無し。ダイアセチルは非常に少量で、あったとしても補完的なアロマである。

外観:濃い赤、赤ワイン色〜赤みがかった茶色。透明度は良い。白〜非常に薄いタン色の泡。平均的〜良い泡持ち。

フレーバー:強烈なフルーツ感でプラム、オレンジ、ブラック・チェリー、赤フサスグリと言ったフレーバーを一般に有する。穏やかなバニラやチョコレートの特徴が表れていることが多い。スパイス的なフェノールが複雑さを出すために少量あらわれていることもある。酸味(サワー)や酸性(アシディク)な特徴は補完的〜強烈まで幅がある。モルトのフレーバーは補完的〜顕著まで幅がある。一般に酸味(サワー)の特徴が増加するほど、甘い特徴が背後のフレーバーに多く溶け込む(逆もまた同じ)。ホップ・フレーバーは無し。抑えられたホップの苦味。酸性(アシディク)で、タンニンのような苦味は弱〜中の強さで表れていることが多く、熟成した赤ワインのような特徴を付け、長くドライなフィニッシュとなる。ダイアセチルは非常に少量で、あったとしても補完的なフレーバーである。

マウスフィール:ミデアム・ボディ。弱〜中炭酸。弱〜中の収斂味で、良く熟成した赤ワインの様で、ピンと立つ酸味(アシディティ)を伴うことが多い。嘘のように軽く、クリスプな味だが、多少甘いフィニッシュは珍しいことではない。

総合印象:複雑な、酸味(サワー)のある、赤ワインの様なベルギー風のエール。

歴史:西フランダース地方特有のビールで1820年に西フランダースで創業し、当時の醸造の伝統を守るローデンバッハの製品に代表される。ビールを酸っぱくするのに必要なバクテリアが住み着いているオーク製の巨大な樽でビールは2年間熟成される。かつてベルギーとイングランドでは熟成したビールにある酸味(サワー)や酸性度(アシディティ)のバランスを取るのに若いビールと古いビールを混ぜるのが一般的だった。均一な製品を作るために複数の仕込みを混ぜ合わせることは大きなブルワリーにおいて今では普通となった一方、このタイプのブレンドは消えゆく技となっている。

コメント:長い熟成、若いビールと良く熟成したビールのブレンドがしばしば行われ、スムースさと複雑さが付け加えられるが、熟成した製品は鑑定士のビールとして時おり発売される。ベルギーのブルゴーニュ[ブルゴーニュ地方産の通例赤ワイン]としても知られ、他のどのビア・スタイルよりも赤ワインらしい。赤みがかった色はモルトの製品であるが、長時間に及ぶ、ぐつぐつさせない煮沸が魅力的なブルゴーニュの色調を付けるのに役立っていると思われる。熟成するとさらに色が濃くなる。オート・ブランに比べるとフランダース・レッドは酢酸がより強く、フルーツのフレーバーが赤ワインをより強く連想させる。見かけの発酵率は98%にものぼる。

原料:ウィーンやミュンヘン・モルトを土台に、淡い〜中のカラ・モルト、少量のスペシャルBが20%を上限とするとメイズと共に用いられる。低α酸のヨーロッパ大陸産ホップが通常使われる(高α酸や独特のアメリカン・ホップは避けること)。サッカロマイセス、ラクトバシルス、ブレタノマイセス(加えて酢酸菌)が発酵とその結果出てくるフレーバーの要因となる。

諸元:OG:1.048 − 1.057, FG:1.002 − 1.012, IBUs:10 − 25, SRM:10 − 16, ABV:4.6 − 6.5%

市販例:Rodenbach Klassiek*, Rodenbach Grand Cru*, Bellegems Bruin, Duchesse de Bourgogne*, New Belgium La Folie, Petrus Oud Bruin*, Southampton Flanders Red Ale, Verhaege Vichtenaar*, Monk's Cafe Flanders Red Ale, New Glarus Enigma, Panil Barrique´e, Mestreechs Aajt [*印は日本で入手可能と思われるもの]

2010年04月25日更新

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残りわずかとなりました。注文はお早めに!

17C.フランダース・ブラウン・エール/オート・ブラン

アロマ:フルーツのエステルと濃厚なモルトの特徴の複雑な組み合わせ。エステルは一般にレーズン、プラム、イチジク、デーツ[ナツメヤシの実]、ブラック・チェリー、プルーン等を思わせる。カラメル、トフィー、オレンジ、ゴールデン・シロップ(トリークル)、チョコレートと言ったモルトの特徴もまた良くある。スパイス的なフェノールが少量だが出ていることもあり複雑さを加味する。シェリーに似た特徴が出ていることもあり、一般に熟成した製品であることを示す。弱い酸味(サワー)アロマが出ていることもあり、熟成とともに緩やかに増加するが顕著な酢/ビネガーの特徴になってはならない。ホップ・アロマは無し。ダイアセチルは非常に少量だけ感知され得るが、あったとしても副次的なアロマである。

外観:濃い赤褐色〜茶色。良好な透明度。平均〜良い泡持ち。アイボリー〜薄いタン色の泡。

フレーバー:モルト的で、フルーツ的な複雑さとカラメル化の特徴を伴う。フルーツさは一般にレーズン、プラム、イチジク、デーツ[ナツメヤシの実]、ブラック・ベリー、プルーン等のダーク・フルーツを含む。カラメル、トフィー、オレンジ、ゴールデン・シロップ(トリークル)、チョコレートと言ったモルトの特徴もまた良くある。スパイス的なフェノールが少量だが出ていることもあり複雑さを加味する。わずかな酸味(サワー)が良く熟成した製品ではよりハッキリすることが多く、シェリーに似た特徴と一体となって“甘酸っぱい”輪郭を形成する。酸味(サワー)は顕著な酢/ビネガーの特徴まで強くなってはならない。ホップ・フレーバーは無し。控えめなホップの苦味。弱い酸化は複雑さの観点から相応しい。ダイアセチルは非常に少量だけ感知され得るが、あったとしても副次的な副次的なフレーバーである。

マウスフィール:ミデアム〜ミデアム・フル・ボディ。弱〜中程度の炭酸。収斂味は無く、甘く酸っぱい(タート)フィニッシュ。

総合印象:モルト、フルーツ、熟成、多少酸っぱい(サワー)ベルギー風のブラウン・エール。

歴史:起源は1600年代にまで遡るリーフマン醸造所(現在はリヴァの傘下)の製品に代表される、東フランダース古来の“古いエール”を受け継いだもの。歴史上“プロビジョン・ビア”[貯蔵するためのビール]として醸造され、熟成するにつれ酸味(サワー)を生じる。これらのビールは現在の市販品よりも概して酸味が強かった。フランダース・レッド・ビールはオークで熟成するのに対して、ブラウン・ビールはステンレス中で高い温度で熟成する。

コメント:長期の熟成および若いビールと熟成したビールのブレンドが行われることもあり、スムースさと複雑さを加え、ザラザラ感や酸味(サワー)の特徴のつり合いをとる。色の濃いモルトの特徴がこのビールとフランダース・レッド・エールの相違点。このスタイルは貯蔵を前提に設計されたので、適度に熟成した特徴のある製品は若い製品よりも優れていると見なされる。フルーツ・ランビックにあるように、オート・ブランはクリーク(サクランボ)またはフランボーゼン(ラズベリー)のようなフルーツの香りのするビールの土台として使われることもあるが、これらは伝統的なスタイルのフルーツ・ビア・カテゴリーにエントリーすること。オート・ブランはフランダース・レッドに比べるとほとんど酢酸の感じは無くよりモルト的で、フルーツのフレーバーはよりモルト指向である。

原料:ピルス・モルトを下地に、適度な量の色の濃いカラ・モルトとブラックまたはロースト・モルトをほんの少し。メイズを含むことも多い。α酸の低いヨーロッパ大陸産のホップが代表的(高α酸や独特のアメリカン・ホップは避けること)。サッカロマイセス、ラクトバシルス(加えて酢酸菌)が発酵とその結果出てくるフレーバーの要因となる。ラクトバシルスはアルコールの強度が上がると活動が鈍くなる。ラクトバシルス無しで酸味(サワー)の特徴を出すために、サワー・マッシュまたは酸味を帯びたモルト[サワー・モルト]もまた使われる。炭酸塩の強い水が地元では典型的で、色の濃いモルトの酸性度や乳酸による酸味(サワー)を緩和する。水に含まれるマグネシウムが酸味(サワー)を引き立てる。

諸元:OG:1.040 − 1.074, FG:1.008 − 1.012, IBUs:20 − 25, SRM:15 − 22, ABV:4 − 8%

市販例:Liefman's Goudenband*, Liefman's Odnar, Liefman's Oud Bruin, Ichtegem Old Brown, Riva Vondel [*印は日本で入手可能と思われるもの]

2010年04月25日更新

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アドバンストブルーイング

17D.ストレート(アンブレンディト)ランビック

アロマ:明らかな酸味(サワー)/酸性(アシッディク)のアロマが若い製品では支配的であることが多いが、熟成と共に裏庭、土、ヤギ、干草、馬、馬用の毛布などと表現されるアロマと混ざるに従って弱まる。穏やかなオークや柑橘類のアロマは好ましい。腸内細菌[野菜、スモーク、カビ、子供のおむつ等と表現される]、スモーク、葉巻やチーズのアロマは好ましくない。古い製品は一般にフルーツ的でリンゴやハチミツのアロマを伴う。ホップ・アロマは無し。ダイアセチルは無し。

外観:薄い黄色〜濃い金色。熟成によってビールの色が濃くなる傾向がある。透明度は曇り〜良好。若い製品は濁っていることが多く、古い製品は一般的に透明。泡持ちは一般的に良くない。泡の色は白。

フレーバー:若い製品は顕著な酸味(サワー)や乳酸を示すことが多いが、熟成によりモルト、小麦、裏庭と言った特徴とより良いバランスとなる。フルーツのフレーバーは若いランビックでは質素だが古い製品ではより複雑で、リンゴ等の軽いフルーツ、ルバーブ[大黄の葉柄]、ハチミツ等を思わせる。オークまたは柑橘類のフレーバー(大抵はグレープフルーツ)が時折目立つ。腸内細菌、スモーク、葉巻の様な特徴は好ましくない。ホップの苦味は弱〜無し。ホップ・フレーバーは無し。ダイアセチルは無し。

マウスフィール:ライト〜ミデアム・ライト・ボディ。終了比重が低いにも関わらず、口いっぱいに広がる沢山のフレーバーにより水っぽくはない。大雑把に言えばランビックは熟成とともにドライになるので、ドライ感が熟成の簡単な指標となる。中〜強い酸味(タート)、口をすぼめる資質で鋭い収斂味は無い。殆ど〜完全に無炭酸。

総合印象:複雑、酸味(サワー)/酸性(アシッディク)、色の薄い、小麦主体のエールで様々なベルギーの微生物により発酵される。

歴史:自発的に発酵したサワー・エールでブリュッセル(センヌ渓谷)とその周辺に由来し数世紀の歴史を持つ農家式醸造の伝統を受け継ぐ。数は絶えず減少し続けている。

コメント:ストレート・ランビックは単一仕込みで、ブレンドしていないビール。ブレンドしていないので、ストレート・ランビックは醸造所の“家付きの特徴”を持つ真の製品であることが多く、グーズよりも変化に富む。一般に若い(6ヶ月)うちは、炭酸を充填せずに安く、飲みやすいビールとしてオン・タップで提供される。若い製品は深みのない酸味(サワー)になりがちで、それは複雑なブレタノマイセスの特徴が出てくるのに一年以上かかる場合が多いからである。腸内細菌の特徴は若すぎるランビックであることを示していることが多い。顕著なビネガーやサイダーの特徴はベルギーの醸造者によれば欠陥。野生のイーストやバクテリアは全ての糖類を発酵するので、完全に発酵が終了した時にだけ瓶詰めされる。ランビックは無炭酸で提供されるのに対して、グーズは発砲性で提供される。熟成したホップが使われるのでIBUはおおよその値。というのもベルギー人はランビックにおいてホップは苦味付けよりも防腐剤として使うからである。

原料:モルト化していない小麦(30 - 40%)、ピルスナー・モルト、(3年)熟成した(シュラネ[surannesフランス語で『期限切れ』等と言った意味])ホップが使われる。熟成したホップは苦味よりも防腐効果の目的で使われるので、実際の苦味強度を見積もるのが難しい。これらのビールは自然に発生するイーストやバクテリアを使い、それがオーク製の樽で優勢となり自発的な発酵がなされるのが伝統的。ホームブルーやクラフトブルーで作られる製品はサッカロマイセス、ブレタノマイセス、ペディオコッカス、ラクトバシルスを通常含む純粋培養したイーストを使うのがより一般的であり、これはブリュッセルやセンヌ川渓谷周辺地方で優勢な微生物環境の効果を再現しようと試みられて作られたものである。瓶から採取された培養菌が時として用いられることがあるが、どの微生物が活性かを知るのは容易ではない。

諸元:OG:1.040 − 1.054, FG:1.001 − 1.010, IBUs:0 − 10, SRM:3 − 7, ABV:5 − 6.5%

市販例:容易に入手できる瓶詰め製品はCantillon Grand Cru Bruocsellaだけで、作り手が瓶詰めに値すると判断した単一仕込みのビンテージ。デ・カムが非常に古い(5年)ランビックを時折瓶詰めする。ブリュッセル周辺では特別なカフェがあり、ブーン、デ・カム、カンティロン、ドリー・フォンティネン、リンデマンス、ティママン、ジラルダンと言った老舗のブルワリーやブレンダーのランビックをドラフトで出すところが多い。

2010年04月26日更新

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17E.グーズ

アロマ:中程度の酸味(サワー)/酸性(アシディク)のアロマが裏庭、土、ヤギ、干草、馬、馬用の毛布等と表現されるアロマと混ざる。酸味(サワー)/酸性(アシディク)がより優勢な製品があるとは言え、バランスが鍵でより良いグーズの目印となる。一般にフルーツ的で、柑橘類(グレープフルーツが多い)、リンゴ等の軽いフルーツ、ルバーブ、ハチミツと言ったアロマを伴う。非常に穏やかなオークのアロマは好ましい。腸内細菌[野菜、スモーク、カビ、子供のおむつ等と表現される]、スモーク、葉巻、チーズのアロマは好ましくない。ホップアロマは無し。ダイアセチルは無し。

外観:金色。透明度は非常に高い(瓶を振らない限り)。厚い岩の様な、ムースに似た、白い泡が永遠に続くように見える。常に発泡性。

フレーバー:中程度の酸味(サワー)/酸性(アシディク)の特徴がモルト、小麦、裏庭の特徴とバランスしているのが由緒正しい。弱い、副次的な甘味が出ていることもあるが強すぎるのは似つかわしくない。酸味(サワー)がより優勢な製品があるとは言え、バランスが鍵でより良いグーズの目印となる。色とりどりのフルーツ・フレーバが一般的で、ハチミツに似た特徴を有する。穏やかなバニラやオークのフレーバーが目立つことも時折ある。腸内細菌、スモーク、葉巻に似た特徴は好ましくない。ホップの苦味は通常は無いが非常に弱く感じられることが時折ある。ホップ・フレーバーは無し。ダイアセチルは無し。

マウスフィール:ライト〜ミデアム・ライト・ボディ。終了比重が低いにも関わらず、口いっぱいに広がる沢山のフレーバーにより水っぽくはない。弱〜強い酸味(タート)、口をすぼめる資質で鋭い収斂味は無い。暖まる特徴が少しある製品もある。高炭酸。

総合印象:複雑、心地良い酸味(サワー)/酸性(アシディク)、つり合いの取れた、色の薄い、小麦主体のエールで様々なベルギーの微生物により発酵される。

歴史:自発的に発酵したサワー・エールでブリュッセル(センヌ渓谷)とその周辺に由来し数世紀の歴史を持つ農家式醸造の伝統を受け継ぐ。数は絶えず減少し続けており、幅広い購買層の口に合うよう伝統に反して甘くしている製品もある(後発酵)。

コメント:グーズは伝統的に1、2、3年もののランビックを混ぜて作られる。“若い”ランビックは発酵可能な糖類を含んでいるのに対して、古いランビックはセンヌ川渓谷の独特の“野生”味を有する。良いグーズは最も辛辣と言うわけではないが、あふれるほどに食欲をそそる酒香、鋭いアロマ、ソフトで舌触りの良いフレーバーを持つ。ランビックは無炭酸で提供されるのに対して、グーズは炭酸入りで提供される。熟成したホップが使われるのでIBUはおおよその値。というのもベルギー人はランビックにおいてホップは苦味付けよりも防腐剤として使うからである。“oude”または“ville”とつけられた製品は最も伝統的と見なされる。

原料:モルト化していない小麦(30 - 40%)、ピルスナー・モルト、(3年)熟成した(シュラネ[surannesフランス語で『期限切れ』等と言った意味])ホップが使われる。熟成したホップは苦味よりも防腐効果の目的で使われるので、実際の苦味強度を見積もるのが難しい。これらのビールは自然に発生するイーストやバクテリアを使い、それがオーク製の樽で優勢となり自発的な発酵がなされるのが伝統的。ホームブルーやクラフトブルーで作られる製品はサッカロマイセス、ブレタノマイセス、ペディオコッカス、ラクトバシルスを通常含む純粋培養したイーストを使うのがより一般的であり、これはブリュッセルやセンヌ川渓谷周辺地方で優勢な微生物環境の効果を再現しようと試みられて作られたものである。瓶から採取された培養菌が時として用いられることがあるが、どの微生物が活性かを知るのは容易ではない。

諸元:OG:1.040 − 1.060, FG:1.000 − 1.006, IBUs:0 − 10, SRM:3 − 7, ABV:5 − 8%

市販例:Boon Oude Gueuze*, Boon Oude Gueuze Mariage Parfait*, De Cam Gueuze*, De Cam/Drei Fonteinen Millennium Gueuze, Drie Fonteinen Oud Gueuze*, Cantillon Gueuze*, Hanssens Oude Gueuze*, Lindemans Gueuze Cuvée René, Girardin Gueuze (Black Label)*, Mort Subite (Unfiltered) Gueuze*, Oud Beersel Oude Gueuze* [*印は日本で入手可能と思われるもの]

2010年04月27日更新

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17F.フルーツ・ランビック

アロマ:ビールに加えられたフルーツがアロマを支配していること。弱〜やや酸味(サワー)/酸性(アシディク)の特徴が裏庭、土、ヤギ、干草、馬、馬用の毛布等と表現されるアロマと混ざる(このようにランビックとして認識できなければならない)。フルーツのアロマは一般に他のアロマと混ざる。腸内細菌[野菜、スモーク、カビ、子供のおむつ等と表現される]、スモーク、葉巻、チーズのアロマは好ましくない。ホップアロマは無し。ダイアセチルは無し。

外観:フルーツの種類が色を決定するのが通常だが色の薄いフルーツはほとんど色に影響しない。色は熟成と共に薄くなる。透明度は高いことが多いが、輝きを落とさないフルーツもある。厚く岩の様な、ムースに似た、時折フルーツの色合いのする泡が通常は長く残る。常に発泡性。

フレーバー:ビールに加えたフルーツがハッキリとしていなければならない。弱〜控えめな酸味(サワー)とより一般的な(時折強い)酸性(アシディク)の特徴が表れている。由緒ある裏庭の特徴は弱〜強。若いうちは、フルーツいっぱいに満ちあふれた味わい。熟成に従いそのフルーツ的な特徴が無くなりランビックの味が支配的となる——このようにフルーツ・ランビックは長期熟成には向かない。弱い、副次的な甘味が出ていることもあるが強すぎるのは似つかわしくない。穏やかなバニラやオークのフレーバーが時折目立つ。腸内細菌、スモーク、葉巻に似た特徴は好ましくない。ホップの苦味は通常は無し。ホップ・フレーバーは無し。ダイアセチルは無し。

マウスフィール:ライト〜ミデアム・ライト・ボディ。終了比重が低いにも関わらず、口いっぱいに広がる沢山のフレーバーにより水っぽくはない。弱〜強い酸味(タート)、口をすぼめる資質で鋭い収斂味は無い。暖まる特徴が少しある製品もある。高炭酸。

総合印象:複雑、フルーツ、心地良い酸味(サワー)/酸性(アシディク)、つり合いの取れた、色の薄い、小麦主体のエールで様々なベルギーの微生物により発酵される。フルーツ入りのランビックで、単なるフルーツ・ビールではない。

歴史:自発的に発酵したサワー・エールでブリュッセル(センヌ渓谷)とその周辺に由来し数世紀の歴史を持つ農家式醸造の伝統を受け継ぐ。数は絶えず減少し続けており、幅広い購買層の口に合うよう伝統に反して甘くしている製品もある(後発酵)。地元のカフェでビールの種類を増やすために、ブレンダーやパブリカン[パブの主人]によって、ランビックまたはグーズにフルーツを加えたのが伝統。

コメント:フルーツ主体のランビックはグーズの様に1、2、3年もののランビックを混ぜて作られることが多い。“若い”ランビックは発酵可能な糖類を含んでいるのに対して、古いランビックはセンヌ川渓谷の独特の“野生”味を有する。フルーツは熟成の途中で加えられるのが通例で、フルーツ由来の糖分はイーストとバクテリアによって全て分解される。フルーツはまたブレンドしていないランビックにも加えられる。フルーツ・ランビックの最も伝統的なスタイルはクリーク(チェリー)、フランボワーズ(ラズベリー)、ドルーベン(マスカット)が入っている。 エントリーする場合、ランビックを作る際に使用したフルーツの種類を明記すること。 甘すぎるランビック(例えば、リンデマンズやベル・ヴューのコピー)は16Eベルジャン・スペシャルティのカテゴリーにエントリーした方が良い。と言うのはこのカテゴリーではビールの特徴は問わないからである。熟成したホップが使われるのでIBUはおおよその値。というのもベルギー人はランビックにおいてホップは苦味付けよりも防腐剤として使うからである。

原料:モルト化していない小麦(30 - 40%)、ピルスナー・モルト、(3年)熟成した(シュラネ[surannesフランス語で『期限切れ』等と言った意味])ホップが使われる。熟成したホップは苦味よりも防腐効果の目的で使われるので、実際の苦味強度を見積もるのが難しい。伝統的な製品は10 - 30%のフルーツ(チェリーの場合25%)を使う。伝統的に使われるフルーツには酸っぱい(タート)チェリー(種も)、ラズベリー、マスカットがある。より最近の製品ではピーチ、アプリコット、メルロー・ブドウがある。酸っぱい(タート)または酸性(アシディク)のフルーツが伝統的に使われた所以は、ビールを甘くせずに新奇の広がりを加えようとする目的にある。これらのビールは自然に発生するイーストやバクテリアを使い、それがオーク製の樽で優勢となり自発的な発酵がなされるのが伝統的。ホームブルーやクラフトブルーで作られる製品はサッカロマイセス、ブレタノマイセス、ペディオコッカス、ラクトバシルスを通常含む純粋培養したイーストを使うのがより一般的であり、これはブリュッセルやセンヌ川渓谷周辺地方で優勢な微生物環境の効果を再現しようと試みられて作られたものである。瓶から採取された培養菌が時として用いられることがあるが、どの微生物が活性かを知るのは容易ではない。

諸元:OG:1.040 − 1.060, FG:1.000 − 1.010, IBUs:0 − 10, SRM:3 − 7(フルーツによって変わる), ABV:5 − 7%

市販例:Boon Framboise Marriage Parfait, Boon Kriek Mariage Parfait*, Boon Oude Kriek*, Cantillon Fou' Foune (apricot)*, Cantillon Kriek*, Cantillon Lou Pepe Kriek*, Cantillon Lou Pepe Framboise*, Cantillon Rose de Gambrinus*, Cantillon St. Lamvinus (merlot grape)*, Cantillon Vigneronne (Muscat grape)*, De Cam Oude Kriek, Drie Fonteinen Kriek, Girardin Kriek*, Hanssens Oude Kriek*, Oud Beersel Kriek*, Mort Subite Kriek* [*印は日本で入手可能と思われるもの]

2010年04月27日更新

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