13.スタウト
13A.ドライ・スタウト
アロマ:コーヒーのようなロースト麦やロースト・モルトのアロマが顕著で、わずかにチョコレート、ココア、穀物と言った副次的な特徴が感じられることもある。エステルは中弱〜無し。ダイアセチルは無し。ホップ・アロマは弱〜無し。
外観:漆黒〜濃い茶色で深紅の輝きがある。不透明なこともある(でなければ透明)。厚く、クリーミーで長く残る、タン〜茶色の泡が特徴的。
フレーバー:中程度のロースト、穀物のシャープさ、加えて軽〜中程度の酸による酸味がある場合もあり、中〜強いホップの苦味。ドライ、コーヒーのようなフィニッシュで、ローストした穀物由来。ほろ苦いまたは甘味の加えていないチョコレートの特徴が口に広がり、フィニッシュまで残る。それにつり合うようにクリーミーさ、中弱〜無のフルーティさ、中〜無のホップ・フレーバ等も感じられる。ダイアセチルは無し。
マウスフィール:ミデアム・ライト〜ミデアム・フルのボディでクリーミーな特徴。弱〜中の炭酸。高いホップの苦味と濃色グレインがかなり入っている割には非常にスムースである。比重の低いビールはボディが軽いと言う風にボディ感は全体的な比重の影響を受ける。ローストしたグレイン由来の軽い酸味が感じられることがあるが、ザラザラ感は望ましくない。
総合印象:非常に色の濃い、ロースティで苦いクリーミーなエール。
歴史:ロンドン・ポーターの成功に乗じようとして進化したスタイルだが、もともとはよりフル、よりクリーミー、より“スタウト[=強い]”なボディと強さを反映していた。ブルワリーがスタウトやポータを提供する時、スタウトは常により強いビール(もともと“スタウト・ポーター”と呼ばれていた)を指していた。現代では低めの初期比重で醸造され、もはやポーターより強力という意味は無い。
コメント:これは他の言い方ではアイリッシュ・スタウトまたはアイリッシュ・ドライ・スタウトとして知られるビールのドラフト版である。瓶詰め版はより高い比重で作られるのが典型的で、フォーリン・エクストラ・スタウト(十分に強い場合)と呼ばれることもある。大部分の市販品ではダーク・グレインとしてロースト大麦を主としているが、チョコレート・モルト、ブラック・モルトまたは三種の混合が使われることもある。ロースト感やフィニッシュのドライ感と同様、苦味の強度にはやや幅があるので、醸造側の解釈を考慮すること。
原料:ドライさの由来はペール・モルトに加えてモルト化していないロースト大麦を使っていること、中〜強いホップの苦味、十分な発酵である。フレーク化したモルト化していない大麦もまたクリーミーさを加えるのに使われる。複雑さを出すために低い割合(おそらく3%程度)の酸っぱいビールが加えられることもある(通常はギネスだけ)。典型的には中くらいの炭酸塩を含んだ水で、高レベルだと伝統的なドライ・フィニッシュは出ない。
諸元:OG:1.036 - 1.050, FG:1.007 - 1.011, IBUs:30 - 45, SRM:25 - 40, ABV:4 - 5%
市販例:Guinness Draught Stout (also canned)*, Murphy's Stout*, Beamish Stout*, O'Hara's Celtic Stout, Russian River O.V.L. Stout, Three Floyd's Black Sun Stout, Dorothy Goodbody's Wholesome Stout, Orkney Dragonhead Stout, Old Dominion Stout, Goose Island Dublin Stout, Brooklyn Dry Stout [*印は日本で入手可能なもの]
2010年03月17日更新
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