2.ピルスナー
2C.クラシック・アメリカン・ピルスナー
アロマ:低〜中程度の穀物的、トウモロコシ風、甘いと言ったモルト風味が顕著に表れている(米がベースのビールでは分かりにくい)。中〜少し高めのホップ・アロマで多くの場合はクラシックなノーブル・ホップ。フルーティさやダイアセチルの無いクリーンなラガーの特徴。多少のDMSは許容される。
外観:黄〜濃金色。しっかりとした長く残る白い泡。輝くような透明度。
フレーバー:ヨーロッパのピルスナーに似た特徴で中〜少し強めのモルト風味だが、副原料として30%程度までフレーク化されたトウモロコシや米が使われるため多少軽め。トウモロコシを使用しているため、わずかに穀物的でトウモロコシ風の甘味とそれを補うしっかりとしたホップの苦味を伴って表れている。米をベースとしたものは、よりクリスピーでドライで多くの場合トウモロコシ風のフレーバーが欠ける。ノーブル・ホップ(後付けでもファースト・ウォート・ホッピングでも良い)の中〜高いホップ・フレーバー。中〜高いホップの苦味だが粗雑だったり後味にザラザラ感が残ったりしない。フルーティさやダイアセチルは無い。スムースで良く熟成されていること。
マウスフィール:ミデアム・ボディで濃厚でクリーミーな口当たり。中〜高炭酸。
総合印象:伝統的なヨーロピアン・ピルスナーにも通用するしっかりとしたピルスナーだが、アメリカで最初に作ったドイツ人ブルワーが用いたアメリカ大陸原産のグレインやホップの特徴を有する。爽やかだが、最新のアメリカン・ライト・ラガーに比べると奥に潜むモルトやホップが際立つ。トウモロコシはそれと分かる穀物的な甘味を添える。米はよりクリスピーでよりニュートラルな特徴を与える。
歴史:アメリカに定住する際に製造方法とイーストを持ち込んだドイツ移民ブルワーによりアメリカで作られたアメリカ版ピルスナー。オリジナルのピルスナーのアメリカ版を創造するためにアメリカ原産の原材料を使って作られた。禁酒法後に一度絶滅したスタイルであるが道楽人達によってホームブルー・スタイルとして復活した。
コメント:クラッシク・アメリカン・ピルスナーは禁酒法時代前後で作られていたが、多少違いがある。禁酒法前の初期比重が1.050-1.060適正値だったのに対して禁酒法後は1.044-1.048に落ちた。これに伴ってIBUも禁酒法前の30-40から禁酒法後には25-30に落ちた。
原料:六条大麦に、過度のたんぱく質分を希釈するための20%〜30%のフレーク化されたトウモロコシを加える。クラスターのようなアメリカ原産のホップ、伝統的なヨーロッパのノーブル・ホップや現代的なノーブル交配種(ウルトラ、リバティ、クリスタル)がふさわしい。カスケードのような現代的なアメリカン・ホップはそぐわない。ミネラル分の多い水は[スタイルに]合致しない粗雑なフレーバーやザラザラした後味を出すことがある。
諸元:OG:1.044 - 1.060, FG:1.010 - 1.015, IBUs:25 - 40, SRM:3 - 6, ABV:4.5 - 6%
市販例:ブルーパブやマイクロ・ブルワリーで時々出されるスペシャル・ビール。
2010年03月03日更新
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