22.スモーク・フレーバ/ウッド・エイジ・ビア
22A.クラシック・ラオホビア
アロマ:スモークとモルトが融合し、バランスと強さは様々。ブナの木でスモークした特徴が微妙〜かなり強めまであり、煙、ベーコン、木材あるいは稀に殆ど脂と言った感じがする。モルトの特徴は弱〜中程度で、幾分甘く、トーストあるいはモルト的。モルトとスモークの成分は反比例することが多い(つまり、スモーク感が増すとモルト感が減り、また逆も同じ)。ホップ・アロマは非常に弱〜無し。クリーン、ラガーの特徴でフルーツ・エステル、ダイアセチル、DMSは無し。
外観:これは非常に透明なビールで、大きく、クリーミー、豊かな、タン〜クリーム色の泡を伴うこと。中庸のアンバー/明るい銅色〜濃い茶色。
フレーバー:概ねアロマの特徴に準じ、スモーク感とモルト感が常に補い合いながらバランスと強さを変化させて溶け合う。特にモルト、トースト、濃厚さにおいてメルツェンに似た資質が顕著で無ければならないが、ブナの木でスモークしたフレーバーは弱〜強い。味覚は幾分モルト的で甘いが、フィニッシュはモルトとスモークの両方を映し出す。中程度で、バランスの取れた、ホップの苦味で、ミデアム・ドライ〜ドライのフィニッシュ(スモークの特徴がフィニッシュのドライ感を高める)。ノーブル・ホップのフレーバーが中程度〜無し。クリーンなラガーの特徴で、フルーツ・エステル、ダイアセチル、DMSは無し。ザラザラした、苦い、焦げ、炭化した、ゴム、硫黄あるいはフェノール的な煙の特徴は相応しくない。
マウスフィール:ミデアム・ボディ。中〜中高の炭酸。スムースなラガーの特徴。著しい収斂味、フェノールのザラザラ感は相応しくない。
総合印象:メルツェン/オクトーバーフェスト・スタイル(3Bを見よ)のビールで、甘く、スモークのアロマとフレーバーを伴い、色はやや濃い。
歴史:ドイツ・バイエルン州フランケン地方にあるバンベルク市の歴史的な特産品。メルツェン・スタイルのアンバー・ラガーを作る際にブナの木でスモークしたモルトが使われる。モルトに付けられるスモークの特徴は精麦業者によって異なり、自家製のスモーク・モルト(rauchmalz: ラオホマルツ)を生産する醸造所もある。
コメント:スモーク〈の特徴〉の強さは幅広く変化し、全ての製品が強く薫るわけではない。審査時には派生種も考慮すること。ドイツではSpezial Lagerの様な製品を含め、ボック、ヘフ・ヴァイツェン、デュンケル、シュバルツ、ヘレスの様なビールと言った異質のスモーク・ビールが入手できる。これらのスタイルをエントリーする場合はアザー・スモーク・ビア(22B)をエントリー先として使うこと。
原料:ジャーマン・ラオホマルツ(ブナの木でスモークしたウィーン・タイプのモルト)が穀物原料の20〜100%を占めるのが典型的で、残りはメルツェンで良く使われるドイツ産モルトである。僅かなロースト・モルトを使って少し色調整をする醸造所もある。ドイツのラガー・イースト。ドイツまたはチェコ産ホップ。
諸元:OG:1.050 − 1.057, FG:1.012 − 1.016, IBUs:20 − 30, SRM:12 − 22, ABV:4.8 − 6%
市販例:Schlenkerla Rauchbier Märzen*, Kaiserdom Rauchbier, Eisenbahn Rauchbier, Victory Scarlet Fire Rauchbier, Spezial Rauchbier Märzen, Saranac Rauchbier [*印は日本で入手可能と思われるもの]
2010年04月30日更新
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