14.インディア・ペール・エール
14A.イングリッシュIPA
アロマ:花のような、土っぽい、フルーティと言った性質の中〜やや強いホップアロマだが、アメリカン・タイプに比べるとホップ風味は通常弱い。わずかに草のような(grassy)ドライ・ホップのアロマはあって良いが、必須ではない。適度なカラメルまたはトーストの様なモルト感があるのが普通。エステルまたはホップ由来の弱〜中程度のフルーティさが感じられることもある。サルファリーな特徴を有する製品もあるが、この特徴は必須でない。
外観:色の範囲はゴールデン・アンバー色〜薄い銅色だが、ほとんどは薄〜中くらいのアンバー色でオレンジ色がかっている。透明でなければならないが、無濾過でドライホップした製品は少々濁りがある。泡立ちが良くオフ白の泡が持続する。
フレーバー:ホップ・フレーバーは中〜高で、中〜強いホップの苦味を伴う。ホップ・フレーバーはアロマと同様(花、土、フルーツ、わずかに草っぽい)でなければならない。モルト・フレーバーは中弱〜中強だが、顕著で心地よくホップの特徴を支えなければならない。モルトは英国風で、少々パンやビスケット、トースト、トフィー、カラメルの様でなければならない。相当なホップ風味にもかかわらず、十分なモルト・フレーバーやボディおよび複雑さがホップを支え、最高のバランスとなる。非常に弱いレベルのダイアセチルは許容され、発酵またはホップ由来のフルーティさが全体を複雑にする。フィニッシュは中〜ドライ、苦味は後味にも残るがザラザラしてはならない。高硫酸塩を含んだ水を使った場合、際立って鉱物的、ドライなフィニッシュ、硫黄っぽいフレーバー、長く残る苦味が良く表れる。アルコールの強い製品ではある種のクリーンなアルコール・フレーバーが感じられることがある。オークはこのスタイルでは不適切。
マウスフィール:スムース、ミデアム・ライト〜ミデアム・ボディのマウスフィールでホップ由来の収斂味はないが、中〜中高レベルの炭酸と相まってモルトの甘味はあるものの、全体的にドライな感じとなる。スムースなアルコールによる温まり感が(全てでは無いが)強い製品には感じられる。
総合印象:ホッピーでやや強いペール・エールで、英国産のモルト、ホップ、イーストを使用し、その特徴が良く出ている。アメリカン・ペール・エールに比べるとホップが弱く、モルト・フレーバーが強い。
歴史:英国からインドまでの航海にも耐えるように作られた。極端な温度と海での揺れによって到着するまでに高発酵のビールになった。イングリッシュ・ペール・エールはインディア・ペール・エールが起源。
コメント:比重とホップの割合を増やして作られたペール・エール。最近のイングリッシュIPAはオリジナルに比べて一般的にペールである(単なる語呂合わせ)。“IPA”という語は最近では市販の英国ビールではいい加減に使われており、アルコールが容量比4%よりも低いビールにも(不正確に)使われてきた。一般的にはイングリッシュ・ペール・エールやビターに比べてフィニッシュ・ホップが強め、フルーティさやカラメルが弱めである。作りたての製品はフィニッシュ・ホップの特徴がより良く出ているのが明らか。
原料:ペール・エール・モルト(良く発芽した、シングル・インフュージョン・マッシングに適したもの)、英国産ホップ、フルーティまたは硫黄/鉱物っぽい特徴を付加する英国イースト。精製糖が使われる製品もある。オリジナルであるバートンの製品に見られるような心地よいホップの苦味を達成するためには硫酸塩含有量が高く炭酸塩含有量が低い水が非常に重要だが、全ての製品が強い硫酸塩の特徴を示すわけではない。
諸元:OG:1.050 - 1.075, FG:1.010 - 1.018, IBUs:40 - 60, SRM:8 - 14, ABV:5 - 7.5%
市販例:Meantime India Pale Ale, Freeminer Trafalgar IPA, Fuller's IPA, Ridgeway Bad Elf, Summit India Pale Ale, Samuel Smith's India Ale, Hampshire Pride of Romsey IPA, Burton Bridge Empire IPA, Middle Ages ImPailed Ale, Goose Island IPA, Brooklyn East India Pale Ale
2010年03月08日更新
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