5.ボック
5A.マイボック/ヘレス・ボック
アロマ:中〜強いモルトのアロマで多くは軽くトーストした資質と軽いメラノイジンを伴う。ノーブル・ホップのアロマはやや弱〜無で、多くはスパイシーな資質を持つ。クリーン。ダイアセチル無し。フルーツ・エステルは低〜無。アルコールが感じられても良い。ピルス・モルト由来の軽いDMSのアロマが感じられることもある。
外観:濃い金色〜薄いアンバー色。ラガーリングによる高い透明度。大きく、クリーミーで長持ちする白い泡。
フレーバー:ヨーロッパ大陸産ペール・モルトの濃厚なフレーバーが支配的(トースト風味やメラノイジンを含むピルス・モルトのフレーバー)。カラメル化は殆ど〜全く無し。ピルス・モルト由来の軽いDMSのフレーバーが感じられることがある。ノーブル・ホップのフレーバーは中〜無し。ホップやアルコール由来の軽いスパイス的または胡椒のような資質が感じられることがある。ホップの苦味は中(バランス的には他のボックに比べてホップ寄り)。クリーンで、フルーツ・エステルもダイアセチルも無し。十分に発酵が進み、甘ったるくなく、ややドライなフィニッシュでモルトとホップの両方の味がする。
マウスフィール:ミデアム・ボディ。中〜やや強い炭酸。ホップの苦味を強めたにもかかわらず、スムースかつクリーンでザラザラ感や収斂味は無い。アルコールによる暖まる感じがすることもある。
総合印象:比較的淡色で強いモルティなラガー・ビール。個性の無さと個性が出過ぎる微妙な境目に乗るようにデザインされている。通常、ホップ風味は他のボックに比べてはっきりしている。
歴史:他のボックビールに比べると、かなり最近になって発展した。マイボックの提供はとりわけ春季と5月を連想させる。
コメント:トラディショナル・ボックの淡色版、またはボックの強さで作られたミュンヘン・ヘレスのどちらかと考えられる。かなりモルティであるとは言え、典型的にはトラディショナル・ボックに比べると色濃さと濃厚なモルト・フレーバーは少ない。またトラディショナル・ボックよりもドライで、ホップが利いており、より苦い。ホップがメラノイジンが少ない点を補う。ヘレス(“ペール”)ボックとマイ(“メイ”)ボックが同じことを表すのか否かについては論争がある。(メルツェンとオクトーバーフェストが同じだとする意見と同様)大多数は同一とする意見に賛成であるが、マイボックはホップおよび色の範囲において上限に達した“フェスト”タイプのビールであると信じる人もいる。どんなフルーツさもミュンヘン・モルトおよび他のスペシャル・モルトによるもので、発酵時に生成されるイースト由来のエステルではない。
原料:ピルス・およびウィーン・モルトをベースに(トラディショナル・ボックに比べるとだいぶ少ないが)風味付けのミュンヘン・モルトが加えられる。モルト化していない副原料は使われない。ノーブル・ホップ。ザラザラ感を避けるために軟水が好ましい。クリーンなラガー・イースト。デコクション・マッシュが典型的だが、色が濃くなるのを抑えるためトラディショナル・ボックよりは煮込み時間が短い。
諸元:OG:1.064 - 1.072, FG:1.011 - 1.018, IBUs:23 - 35, SRM:6 - 11, ABV:6.3 - 7.4%
市販例:Ayinger Maibock, Mahr's Bock, Hacker-Pschorr Hubertus Bock, Capital Maibock, Einbecker Mai-Urbock*, Hofbräu Maibock, Victory St. Boisterous, Gordon Biersch Blonde Bock, Smuttynose Maibock [*印は日本で入手できる可能性のあるもの]
2010年04月17日更新
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