9.スコティッシュ&アイリッシュ・エール
9A.スコティッシュ・ライト・60シリング
スコティッシュ・エール・サブカテゴリー(9A, 9B, 9C)は全て同じ記載となる。スコティッシュ・エール・サブスタイルは主に比重とアルコール度により区別されるが、強い方が必然的にフレーバーの強度がわずかに上がる(モルトが増えた分ホップの苦味も上がる)。エントリーする場合は初期比重とアルコール度を基準に適切なカテゴリーを選ぶこと。
アロマ:弱〜中のモルティな甘味で、弱〜中の煮沸時のカラメル化によってそれが強調されることもある。弱いホップ・アロマ、軽いフルーツさ、弱いダイアセチル、弱〜中のピート・アロマ等(全て任意)が感じられる製品もある。ピートのアロマは土、スモーキー、非常に軽いロースト等に感じられることもある。
外観:濃いアンバー〜濃い銅色。長く少し低い温度で発酵されるため通常は非常に透明。弱〜中のクリーミーなオフ白〜明るいタン色の泡。
フレーバー:モルトが主要なフレーバーであるが過度に強くはない。 弱〜中の煮沸時におけるカラメル化により一般に最初のモルトの甘味が強調され、時として弱いダイアセチル成分を纏うことがある。フルーツ・エステルは中〜無し。ホップの苦味は弱から中だがバランスは常にモルトに傾いている(完全に常にではないが例外はほとんどない)。ホップ・フレーバーは弱〜無し。弱〜中のピート風味が感じられることもあり、土やスモーキーに感じられることもある。通常は少量のロースト・バーレイによる穀物的でドライなフィニッシュ。
マウスフィール:ミデアム・ライト〜ミデアムのボディ。弱〜中の炭酸。少々クリーミーな時もあるが多くはロースト・バーレイを使うことにより極めてドライ。
総合印象:クリーンなモルト感でドライなフィニッシュ、場合によってはエステル類、時には極わずかなピートの土(スモーク)さを合わせ持つ。比較的甘い味覚の割にほとんどのビールがかなりドライで、ストロング・スコッチ・エールとは違うバランス。
歴史:土地固有の原料(水、モルト)を反映した伝統的なスコットランドのセッション・ビールで、イングランドのそれに比べてホップをほとんど使わない(輸入する必要があるため)。長期に渡って少し低い温度で発酵する手法はスコットランドの伝統的な醸造法である。
コメント:モルトとホップのバランスは少し〜中程度にモルト側に傾いている。どのカラメル化も煮沸時におけるカラメル化(ダイアセチルと間違われることがある)由来でありカラメル・モルト由来ではない。スモーク風味がピート燻モルトの使用ではなくイーストまたは水に由来することが稀にある。ピート燻モルトを使ってピート風味を出すことはやめるべきで、過度にスモーキーなビールはアザー・スモークト・ビール・カテゴリー(22B)にエントリーすること。
原料:スコットランド産またはイングランド産のペールなベース・モルト。ロースト・バーレイを少量加えることで色ととフレーバーを付け、ドライでわずかにロースティなフィニッシュを添える。イングランド産ホップ。クリーンで比較的発酵度の低いエール・イースト。クリスタル・モルト、アンバー・モルト、小麦モルトや砂糖のような副原料等を少量加える商業ブルワーもいる。ピート、土、スモーク等のキャラクターがある場合、それらはスモーク・モルトの使用ではなく伝統的なイーストや地元のモルトおよび水に由来するものである。
諸元:OG:1.030 - 1.035, FG:1.010 - 1.013, IBUs:10 - 20, SRM:9 - 17, ABV:2.5 - 3.2%
市販例:Belhaven 60/-, McEwan's 60/-, Maclay 60/- Light (全てカスクのみの製造でアメリカには輸出されていない)
2010年03月05日更新
カテゴリー・インデックスに戻る9B.スコティッシュ・ヘヴィ・70シリング
スコティッシュ・エール・サブカテゴリー(9A, 9B, 9C)は全て同じ記載となる。スコティッシュ・エール・サブスタイルは主に比重とアルコール度により区別されるが、強い方が必然的にフレーバーの強度がわずかに上がる(モルトが増えた分ホップの苦味も上がる)。エントリーする場合は初期比重とアルコール度を基準に適切なカテゴリーを選ぶこと。
アロマ:弱〜中のモルティな甘味で、弱〜中の煮沸時のカラメル化によってそれが強調されることもある。弱いホップ・アロマ、軽いフルーツさ、弱いダイアセチル、弱〜中のピート・アロマ等(全て任意)が感じられる製品もある。ピートのアロマは土、スモーキー、非常に軽いロースト等に感じられることもある。
外観:濃いアンバー〜濃い銅色。長く少し低い温度で発酵されるため通常は非常に透明。弱〜中のクリーミーなオフ白〜明るいタン色の泡。
フレーバー:モルトが主要なフレーバーであるが過度に強くはない。 弱〜中の煮沸時におけるカラメル化により一般に最初のモルトの甘味が強調され、時として弱いダイアセチル成分を纏うことがある。フルーツ・エステルは中〜無し。ホップの苦味は弱から中だがバランスは常にモルトに傾いている(完全に常にではないが例外はほとんどない)。ホップ・フレーバーは弱〜無し。弱〜中のピート風味が感じられることもあり、土やスモーキーに感じられることもある。通常は少量のロースト・バーレイによる穀物的でドライなフィニッシュ。
マウスフィール:ミデアム・ライト〜ミデアムのボディ。弱〜中の炭酸。少々クリーミーな時もあるが多くはロースト・バーレイを使うことにより極めてドライ。
総合印象:クリーンなモルト感でドライなフィニッシュ、場合によってはエステル類、時には極わずかなピートの土(スモーク)さを合わせ持つ。比較的甘い味覚の割にほとんどのビールがかなりドライで、ストロング・スコッチ・エールとは違うバランス。
歴史:土地固有の原料(水、モルト)を反映した伝統的なスコットランドのセッション・ビールで、イングランドのそれに比べてホップをほとんど使わない(輸入する必要があるため)。長期に渡って少し低い温度で発酵する手法はスコットランドの伝統的な醸造法である。
コメント:モルトとホップのバランスは少し〜中程度にモルト側に傾いている。どのカラメル化も煮沸時におけるカラメル化(ダイアセチルと間違われることがある)由来でありカラメル・モルト由来ではない。スモーク風味がピート燻モルトの使用ではなくイーストまたは水に由来することが稀にある。ピート燻モルトを使ってピート風味を出すことはやめるべきで、過度にスモーキーなビールはアザー・スモークト・ビール・カテゴリー(22B)にエントリーすること。
原料:スコットランド産またはイングランド産のペールなベース・モルト。ロースト・バーレイを少量加えることで色ととフレーバーを付け、ドライでわずかにロースティなフィニッシュを添える。イングランド産ホップ。クリーンで比較的発酵度の低いエール・イースト。クリスタル・モルト、アンバー・モルト、小麦モルトや砂糖のような副原料等を少量加える商業ブルワーもいる。ピート、土、スモーク等のキャラクターがある場合、それらはスモーク・モルトの使用ではなく伝統的なイーストや地元のモルトおよび水に由来するものである。
諸元:OG:1.035 - 1.040, FG:1.010 - 1.015, IBUs:10 - 25, SRM:9 - 17, ABV:3.2 - 3.9%
市販例:Caledonian 70/- (アメリカではCaledonian Amber Ale), Belhaven 70/-, Orkney Raven Ale, Maclay 70/-, Tennents Special, Broughton Greenmantle Ale
2010年03月05日更新
カテゴリー・インデックスに戻る9C.スコティッシュ・エクスポート・80シリング
スコティッシュ・エール・サブカテゴリー(9A, 9B, 9C)は全て同じ記載となる。スコティッシュ・エール・サブスタイルは主に比重とアルコール度により区別されるが、強い方が必然的にフレーバーの強度がわずかに上がる(モルトが増えた分ホップの苦味も上がる)。エントリーする場合は初期比重とアルコール度を基準に適切なカテゴリーを選ぶこと。
アロマ:弱〜中のモルティな甘味で、弱〜中の煮沸時のカラメル化によってそれが強調されることもある。弱いホップ・アロマ、軽いフルーツさ、弱いダイアセチル、弱〜中のピート・アロマ等(全て任意)が感じられる製品もある。ピートのアロマは土、スモーキー、非常に軽いロースト等に感じられることもある。
外観:濃いアンバー〜濃い銅色。長く少し低い温度で発酵されるため通常は非常に透明。弱〜中のクリーミーなオフ白〜明るいタン色の泡。
フレーバー:モルトが主要なフレーバーであるが過度に強くはない。 弱〜中の煮沸時におけるカラメル化により一般に最初のモルトの甘味が強調され、時として弱いダイアセチル成分を纏うことがある。フルーツ・エステルは中〜無し。ホップの苦味は弱から中だがバランスは常にモルトに傾いている(完全に常にではないが例外はほとんどない)。ホップ・フレーバーは弱〜無し。弱〜中のピート風味が感じられることもあり、土やスモーキーに感じられることもある。通常は少量のロースト・バーレイによる穀物的でドライなフィニッシュ。
マウスフィール:ミデアム・ライト〜ミデアムのボディ。弱〜中の炭酸。少々クリーミーな時もあるが多くはロースト・バーレイを使うことにより極めてドライ。
総合印象:クリーンなモルト感でドライなフィニッシュ、場合によってはエステル類、時には極わずかなピートの土(スモーク)さを合わせ持つ。比較的甘い味覚の割にほとんどのビールがかなりドライで、ストロング・スコッチ・エールとは違うバランス。
歴史:土地固有の原料(水、モルト)を反映した伝統的なスコットランドのセッション・ビールで、イングランドのそれに比べてホップをほとんど使わない(輸入する必要があるため)。長期に渡って少し低い温度で発酵する手法はスコットランドの伝統的な醸造法である。
コメント:モルトとホップのバランスは少し〜中程度にモルト側に傾いている。どのカラメル化も煮沸時におけるカラメル化(ダイアセチルと間違われることがある)由来でありカラメル・モルト由来ではない。スモーク風味がピート燻モルトの使用ではなくイーストまたは水に由来することが稀にある。ピート燻モルトを使ってピート風味を出すことはやめるべきで、過度にスモーキーなビールはアザー・スモークト・ビール・カテゴリー(22B)にエントリーすること。
原料:スコットランド産またはイングランド産のペールなベース・モルト。ロースト・バーレイを少量加えることで色ととフレーバーを付け、ドライでわずかにロースティなフィニッシュを添える。イングランド産ホップ。クリーンで比較的発酵度の低いエール・イースト。クリスタル・モルト、アンバー・モルト、小麦モルトや砂糖のような副原料等を少量加える商業ブルワーもいる。ピート、土、スモーク等のキャラクターがある場合、それらはスモーク・モルトの使用ではなく伝統的なイーストや地元のモルトおよび水に由来するものである。
諸元:OG:1.040 - 1.054, FG:1.010 - 1.016, IBUs:15 - 30, SRM:9 - 17, ABV:3.9 - 5.0%
市販例:Orkney Dark Island, Caledonian 80/- Export Ale, Belhaven 80/- (アメリカではBelhaven Scottish Ale), Southampton 80 Shilling, Broughton Exciseman's 80/-, Belhaven St. Andrews Ale, McEwan's Export (IPA), Inveralmond Lia Fail, Broughton Merlin's Ale, Arran Dark
2010年03月05日更新
カテゴリー・インデックスに戻る9D.アイリッシュ・レッド・エール
アロマ:弱〜中のモルト・アロマで、通常はカラメルの様だが時折トーストまたはトフィーの様な場合もある。(必須ではないが)軽いバターのような風味がすることもある。ホップ・アロマは弱〜無し(普通は感じられない)。極めてクリーン。
外観:アンバー〜濃い赤銅色(ほとんどの製品は濃赤っぽい)。クリアー。少なめのオフ白〜タン色の泡。
フレーバー:中程度のカルメル・モルトのフレーバーと甘さ、時折バターつきのトーストまたはトッフィーの様な資質を伴う。フィニッシュはロースト・グレインの軽い味わいで、これにより特徴的なドライさが加わる。通常フレーバー・ホップは無いが軽いイングランド産ホップのフレーバーがある製品も存在する。ホップの苦味は中弱だが、ロースト・グレインを少し使うことで中程度の苦味に感じるようになる。ミデアム・ドライ〜ドライなフィニッシュ。クリーンでスムース(ラガーリングしたものは非常にスムースになる)。エステルは無し。
マウスフィール:ミデアム・ライト〜ミデアムなボディだが、低濃度のダイアセチルを含む製品ではわずかに滑らかなマウスフィールとなることもある。中程度の炭酸。スムース。中程度の発酵率(スコティッシュ・エールより高め)。[アルコールの]強い製品ではアルコールによる暖かみがわずかに感じられることもある。
総合印象:飲みやすいビール。モルト中心で、最初に甘味、最後にローストのドライ感がある。
コメント:ラガーとして作られることがある(その場合、通常ダイアセチルの特徴は表れない)。サービングが冷たすぎる場合、ロースト感と苦味がより強まる様に感じることがある。
原料:副原料(コーン、米、砂糖)を含む場合もあるが、過度の使用はビールの特徴を損なう。赤みがかった色とドライなローストのフィニッシュを加えるために通常は少量のロースト・バーレイを含む。英国またはアイルランドのモルト、ホップ、イースト。
諸元:OG:1.044 - 1.060, FG:1.010 - 1.014, IBUs:17 - 28, SRM:9 - 18, ABV:4.0 - 6.0%
市販例:Three Floyds Brian Boru Old Irish Ale, Great Lakes Conway's Irish Ale (6.5%と少々強め), Kilkenny Irish Beer, O'Hara's Irish Red Ale, Smithwick's Irish Ale, Beamish Red Ale, Caffrey's Irish Ale, Goose Island Kilgubbin Red Ale, Murphy's Irish Red (ラガー), Boulevard Irish Ale, Harpoon Hibernian Ale
2010年03月05日更新
カテゴリー・インデックスに戻る9E.ストロング・スコッチ・エール
アロマ:非常にモルティで、多くはカラメルがハッキリとわかる。ピートや土、スモーク等の副次的なアロマが表れていることもあり、それらが複雑さを加味する。カラメル化が良くダイアセチルと間違われることがあるが、ダイアセチルは弱〜無しでなければならない。強い製品では弱〜中程度のエステルとアルコールが表れていることが多い。ホップは非常に弱い〜無し。
外観:薄い銅色〜濃い茶色、濃いルビーの輝きを伴うことが多い。 透明。通常は大きなタン色の泡だが、強い製品では長く持たなくても良い。強い製品では脚が顕著に表れることもある。
フレーバー:濃厚でモルティ、多くは煮沸によるカラメル化がハッキリわかる(強い製品では特に)。ロースト・モルトやスモーキーなフレーバーの気配、ナッツ風味が感じられたりすることもあり、これらは最後まで持続することもある。ホップのフレーバーと苦味は弱〜中弱なのでモルト感が支配的。ダイアセチルは弱〜無しだがカラメル化がこれと間違われることがある。通常は弱〜中のエステルとアルコールが感じられる。エステルはプラムやレーズン、ドライフルーツ等を連想させる。味覚は通常フルでスイートだがフィニッシュはスイート〜ミデアム・ドライ([これは]ロースト・バーレイを少量使うことによる)のこともある。
マウスフィール:ミデアム・フル〜フル・ボディで(全部ではないが)濃く噛みごたえのあるとろみ。スムースでアルコールによる暖かみが通常は感じられ、それがモルティな甘味とつり合うので非常に心地よい。中程度の炭酸。
総合印象:濃厚でモルティで一般的に甘くデザートを連想させる。後から表れる複雑なモルト・フレーバーにより深みのある印象。強さとモルト感は一様でない。
コメント:“ウィ・ヘビー”としても知られている。たいていのエールよりも低い温度で発酵されホップ使用率も低いので、クリーンでモルト・フレーバーが強くなる。発祥の地域に良く適合しており、豊富なモルトを使い、発酵温度および熟成温度は少し低め。ホップはスコットランドには自生しておらずかつては輸入品のため高価だったので必要最小限に抑えられている。
原料:良く発芽させたペール・モルトに3%までのロースト・バーレイ。色調整のために少量のクリスタル・モルトが使われることもあるが、甘味は通常クリスタル・モルトではなく少ないホップ使用率や高いマッシュ温度、煮沸によるカラメル化に由来する。わずかなスモーク・モルトが深みを加えるが、ピート風味(時には土やスモーキに感じる)はイーストやその土地の水に由来する。ホップの使用は必要最低限だが、英国種が最も原型に近い。かなりの軟水が典型。
諸元:OG:1.070 - 1.130, FG:1.018 - 1.056, IBUs:17 - 35, SRM:4 - 25, ABV:6.5 - 10%
市販例:Traquair House Ale, Belhaven Wee Heavy, McEwan's Scotch Ale, Founders Dirty Bastard, MacAndrew's Scotch Ale, AleSmith Wee Heavy, Orkney Skull Splitter, Inveralmond Black Friar, Broughton Old Jock, Gordon Highland Scotch Ale, Dragonmead Under the Kilt
2010年03月05日更新
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