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最終更新日(本文):2011年03月20日
(2010年4月21日から)

22.スモーク・フレーバ/ウッド・エイジ・ビア


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22A.クラシック・ラオホビア

アロマ:スモークとモルトが融合し、バランスと強さは様々。ブナの木でスモークした特徴が微妙〜かなり強めまであり、煙、ベーコン、木材あるいは稀に殆ど脂と言った感じがする。モルトの特徴は弱〜中程度で、幾分甘く、トーストあるいはモルト的。モルトとスモークの成分は反比例することが多い(つまり、スモーク感が増すとモルト感が減り、また逆も同じ)。ホップ・アロマは非常に弱〜無し。クリーン、ラガーの特徴でフルーツ・エステル、ダイアセチル、DMSは無し。

外観:これは非常に透明なビールで、大きく、クリーミー、豊かな、タン〜クリーム色の泡を伴うこと。中庸のアンバー/明るい銅色〜濃い茶色。

フレーバー:概ねアロマの特徴に準じ、スモーク感とモルト感が常に補い合いながらバランスと強さを変化させて溶け合う。特にモルト、トースト、濃厚さにおいてメルツェンに似た資質が顕著で無ければならないが、ブナの木でスモークしたフレーバーは弱〜強い。味覚は幾分モルト的で甘いが、フィニッシュはモルトとスモークの両方を映し出す。中程度で、バランスの取れた、ホップの苦味で、ミデアム・ドライ〜ドライのフィニッシュ(スモークの特徴がフィニッシュのドライ感を高める)。ノーブル・ホップのフレーバーが中程度〜無し。クリーンなラガーの特徴で、フルーツ・エステル、ダイアセチル、DMSは無し。ザラザラした、苦い、焦げ、炭化した、ゴム、硫黄あるいはフェノール的な煙の特徴は相応しくない。

マウスフィール:ミデアム・ボディ。中〜中高の炭酸。スムースなラガーの特徴。著しい収斂味、フェノールのザラザラ感は相応しくない。

総合印象:メルツェン/オクトーバーフェスト・スタイル(3Bを見よ)のビールで、甘く、スモークのアロマとフレーバーを伴い、色はやや濃い。

歴史:ドイツ・バイエルン州フランケン地方にあるバンベルク市の歴史的な特産品。メルツェン・スタイルのアンバー・ラガーを作る際にブナの木でスモークしたモルトが使われる。モルトに付けられるスモークの特徴は精麦業者によって異なり、自家製のスモーク・モルト(rauchmalz: ラオホマルツ)を生産する醸造所もある。

コメント:スモーク〈の特徴〉の強さは幅広く変化し、全ての製品が強く薫るわけではない。審査時には派生種も考慮すること。ドイツではSpezial Lagerの様な製品を含め、ボック、ヘフ・ヴァイツェン、デュンケル、シュバルツ、ヘレスの様なビールと言った異質のスモーク・ビールが入手できる。これらのスタイルをエントリーする場合はアザー・スモーク・ビア(22B)をエントリー先として使うこと。

原料:ジャーマン・ラオホマルツ(ブナの木でスモークしたウィーン・タイプのモルト)が穀物原料の20〜100%を占めるのが典型的で、残りはメルツェンで良く使われるドイツ産モルトである。僅かなロースト・モルトを使って少し色調整をする醸造所もある。ドイツのラガー・イースト。ドイツまたはチェコ産ホップ。

諸元:OG:1.050 − 1.057, FG:1.012 − 1.016, IBUs:20 − 30, SRM:12 − 22, ABV:4.8 − 6%

市販例:Schlenkerla Rauchbier Märzen*, Kaiserdom Rauchbier, Eisenbahn Rauchbier, Victory Scarlet Fire Rauchbier, Spezial Rauchbier Märzen, Saranac Rauchbier [*印は日本で入手可能と思われるもの]

2010年04月30日更新

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3月1日暫定オープン!

22B.アザー・スモーク・ビア

アロマ:アロマは下地となるビールから期待されるアロマ(例えば、ロブスト・ポータ)とスモーク・モルトを使うことにより添えられるスモーク感が心地良くバランスしていること。スモークの強度と特徴および下地となるビア・スタイルは様々で、バランスにおいてどちらかが目立つ。スモーク感も弱〜強烈まで変化するが、良くできた製品を語る上では全体的な体裁が鍵。スモークの質および二次的な特徴はスモークの原料(例えば、ピート、ハンノキ、オーク[ナラ]、ブナ)を反映する。鋭く、フェノール、ザラザラした、ゴムあるいは焦げと言ったスモークから出る芳香は相応しくない。

外観:様々。外観は下地となるビア・スタイルを反映していなければならないが、素の下地スタイルに比べてビールの色は僅かに濃くなることが多い。

フレーバー:アロマと同様、スモーク感と下地となるビア・スタイルから期待されるフレーバーの特徴が良くバランスしていること。スモーク感は弱〜強烈まで変化することがある。スモークのフレーバーは使用するモルトのタイプによって、木材〜多少ベーコン風味まで及ぶ。ピートでスモークしたモルトは土のような感じを付ける。下地ビールの特徴とスモークのバランスは変化するが、融合した結果は多少バランスし、かつ楽しめること。スモークはフィニッシュに少々ドライ感を加える。ザラザラ、苦味、焦げ、炭、ゴム、硫黄あるいはフェノール的な煙の特徴は一般に相応しくない(とは言うものの、下地スタイルにこれらの特徴が表れていることもあるが、スモーク・モルトはこれらのフレーバーに寄与しないこと)。

マウスフィール:下地となるビア・スタイルにより様々。顕著な収斂味、フェノールのスモークから出るザラザラは相応しくない。

総合印象:これはフレーバーやアロマとしてスモークが中心的なバンベルク・スタイル・ラオホビア(すなわちブナで燻したメルツェン)以外のビール。スモーク、ホップ、モルトの特徴をバランス良く組み合わせることが良い製品に繋がる。

歴史:スモーク・モルトを使った製法は最近になってクラフト・ブルワー達が、とりわけポーターやストロング・スコッチ・エールといった他のスタイルに取り入れている。ドイツ人ブルワー達は伝統的にスモーク・モルトをボック、ドッペルボック、ヴァイツェン、デュンケル、シュバルツビア、ヘレス、ピルスナー、他のスペシャルティ・スタイルに使ってきた。

コメント:どんなスタイルのビールもスモークされ得るが、最終的にはスモークの特徴と下地となるビア・スタイルが心地良くバランスしていること。 このビールが伝統的なスタイル(例えばロブスト・ポータといった)を下地としている場合、具体的なスタイルを明記すること。必ずしも伝統的なスタイルを挙げなくても良い(例えば“ポータ”や“ブラウン・エール”等は可)。もし“特定の品種”の特徴が顕著な場合はスモークに使った木の種類またはその他の出所を明記すること。 伝統的なスタイルを挙げたエントリーはそのスタイルが良く再現されているか、スモークの特徴と良くバランスしているかに基づいて審査される。特定のスモークの種類を挙げたエントリーはそのスモークの種類が良く認識できるか、下地スタイルと一体となっているかに基づいて審査される。特定の伝統的なスタイルまたはスモークの種類は特定される必要はない。例えば、“スモークド・ポーター”は“ピート・スモークド・ストロング・スコッチ・エール”としても“チェリー・ウッド・スモークド・IPA”としても同様に受け入れられる。ジャッジは主として全体的なバランスに基づいてビールを審査し、加えてスモークがその下地のビールを如何に高めているかを審査すること。

原料:モルトをスモークする時に異なる原料を使うと、特有なフレーバーおよびアロマの特徴となる。ブナ、ピート、または他の硬材(オーク[ナラ]、メープル[カエデ]、メスキート、ハンノキ、ペカン、リンゴ、サクラ、他の果樹材)でスモークしたモルトが使われる。燻製によって使われる木材が異なるので、木材によって連想される燻製が変わる(例えば、ヒッコリーはリブ、カエデはベーコンやソーセージ、ハンノキはサーモン)。常緑樹の木はモルトに薬や松のフレーバーを付けるので使われない。過度にピートでスモークしたモルトは鋭い、突き刺すようなフェノール、泥のような土っぽさのため一般的に好ましくない。残りの原料はベース・スタイルにより異なる。もしスモーク・モルトが他の変わった原料(フルーツ、野菜、スパイス、ハチミツ等)と組み合わさり顕著な量がある場合、そのビールはスペシャルティ/エクスペリメンタル・カテゴリーにエントリーすること。

諸元:下地となるビア・スタイルにより様々。

市販例:Alaskan Smoked Porter, O'Fallons Smoked Porter, Spezial Lagerbier, Weissbier and Bockbier, Stone Smoked Porter, Schlenkerla Weizen Rauchbier and Ur-Bock Rauchbier, Rogue Smoke* [登別地獄谷燻し麦酒], Oskar Blues Old Chub, Left Hand Smoke Jumper, Dark Horse Fore Smoked Stout, Magic Hat Jinx [*印は日本で入手可能と思われるもの]

2010年05月01日更新

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22C.ウッド・エイジ・ビア

アロマ:下地となるスタイルにより様々。弱〜中程度の木材またはオークを主体としたアロマが通常表れている。新鮮な木材は時として生の“みずみずしい”芳香を付けるが、この特徴は強すぎないこと。その他の任意の芳香としては弱〜中程度のバニラ、カラメル、トフィー、トースト、ココアの特徴があり(もしあれば)それ以前に木材で貯蔵されていたアルコールに関連した芳香もある。アルコールの特徴はスムースでバランス良く、刺激的ではないこと。酸化した特徴が背後に感じられても良く、心地よい、シェリーのような特徴を帯びており、紙や段ボールの様でないこと。

外観:下地となるスタイルにより様々。無添加の下地となるビア・スタイルよりも色が濃いことが多く、特に焼いた/焦げたオークやウイスキー/バーボン・バーレルが使われた場合は顕著。

フレーバー:下地となるスタイルにより様々。木材は木またはオークのフレーバーに寄与するのが通常で、新しい木材が使われる場合は時として生の“みずみずしい”フレーバーを帯びることがある。他の任意のフレーバーとしては(木材にあるバニリンが起源の)バニラ、(焼いた木材が起源の)カラメル、バタースコッチ、トーストしたパン、アーモンド、(焦がした木材またはバーボン・カスクが起源の)コーヒー、チョコレート、ココア、(もしあるなら)その木材でそれ以前に貯蔵されていた他の製品に由来するアルコール・フレーバーがある。木材や他のカスク由来のフレーバーはバランス良く、支援的で、顕著でなければならないが、下地となるビア・スタイルを凌駕してはならない。時として、任意の乳酸的または酢酸的な酢っぱ味(タート)もしくはブレタノマイセスのカビっぽさがビールにつくことがあるが、(もしあったとしても)背後にあるフレーバーよりも強くならないこと。酸化した特徴が背後に感じられても良いが、心地よい、シェリーのような特徴を帯びており、紙や段ボールの様ではないこと。

マウスフィール:下地となるスタイルにより様々。無添加の下地となるビールよりもフルであることが多く、木材がそれ以前に他のアルコール製品に触れていた場合は付加的なアルコールの暖かみを示すことがある。高いアルコール・レベルは“刺激的な”ビールという結果になってはならず、熟成した、スムースなフレーバーが最も好ましい。木材はまたカスクの年齢に相応してタンニンをビールに付ける。タンニンによって付加的な収斂味(決して強くならないこと)が加わったり、単純にマウスフィールがよりフルになることがある。酸っぱ味(タート)または酸性(アシディク)の特徴は弱〜無であること。

総合印象:下地となるビア・スタイルが木材に触れて熟成することによる特徴と調和して融合したもの(それ以前に木材と触れていたアルコール製品を含む)。好適な製品はスムース、風味豊かで、バランスが取れ、良く熟成している。木材を使った熟成が僅かであったり、僅かな背景の特徴しか出ていない製品を使って作られたビールは木材の特徴が顕著な特色をなしていない限り下地となるビア・スタイルのカテゴリーにエントリーすること。

歴史:大きな醸造所ではほとんど使われない伝統的な生産方法で、通常特別品の生産にだけ使われる。現代のアメリカのクラフト・ブルワリーが新奇の製品を探すにつれ一般的になってきた。オーク・カスクやバーレルが伝統的だが、他の木材も使われる。

コメント:下地となるビア・スタイルはハッキリとしていること。木材を主体とした特徴は明白であるが、ビールのバランスを崩すほど支配的であってはならない。木材を主体としたフレーバーの強さは木材との接触時間や、熟成、状態、樽の使用履歴、および木材の種類に基づく。(エントリーの一部に記載があった場合は)木材で以前貯蔵していたどんな付加的なアルコール製品もハッキリと現れていなければならないが、ビールのバランスを崩すほど支配的であってはならない。 このビールが伝統的なスタイル(例えばロブスト・ポータ等)を下地としている場合、具体的なスタイルを必ず明記すること。必ずしも伝統的なスタイルを挙げなくても良い(例えば“ポータ”や“ブラウン・エール”等は可)。もし“特定の品種”の特徴が顕著な場合はスモークに使った木の種類を必ず明記すること (例えば、オーク・チップを使ったイングリッシュIPA、バーボン・バーレルで熟成したインペリアル・スタウト、オーク・ウイスキー・カスクに入れたアメリカン・バーレイワイン等)。下地スタイルまたは木材のどちらかに珍しい原料を使用し、その特徴が顕著である場合、作り手はこれらを明記すること。他の特別な原料が特定される場合は、下地となるビールがスペシャルティまたは試作品であることは明記すること。 このカテゴリは樽熟成がスタイルとして基本的な必要条件となっている下地スタイルには用いないこと (例えば、フランダース・レッド、ランビック等)。

原料:下地となるスタイルにより様々。木製のカスクまたはバーレル(多くの場合それ以前はウイスキー、バーボン、ポート・ワイン、シェリー、マデイラ、ワイン等を保存するのに使われていた)内での熟成または木材から作られた添加物(木製チップ、木製の桶板、オーク・エッセンス等)を使う。よりフルのボディ、より高い比重を持つ下地となるスタイルが使われることが多いのは付加的なフレーバに耐えるからであるが、試作することが推奨される。

諸元:OG:下地となるスタイルにより様々、平均値より上が典型, FG:下地となるスタイルにより様々, IBUs:下地となるスタイルにより様々, SRM:下地となるスタイルにより様々、平均値より上が典型, ABV:下地となるスタイルにより様々、純粋な下地となるスタイルより色濃いことが多い%

市販例:The Lost Abbey Angel's Share Ale, J.W. Lees Harvest Ale in Port, Sherry, Lagavulin Whisky or Calvados Casks, Bush Prestige, Petrus Aged Pale, Firestone Walker Double Barrel Ale, Dominion Oak Barrel Stout, New Holland Dragons Milk, Great Divide Oak Aged Yeti Imperial Stout*, Goose Island Bourbon County Stout, Le Coq Imperial Extra Double Stout, Harviestoun Old Engine Oil Special Reserve, 多くのマイクロブルワリーで、カスクから直接提供されるだけの特別なビールがしばしばある。[*印は日本で入手可能と思われるもの]

2010年05月01日更新

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