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最終更新日(本文):2011年03月20日
(2010年4月21日から)

21.スパイス/ハーブ/ベジタブル・ビア


アドバンストブルーイング

21B.クリスマス/ウインター・スペシャルティ・スパイス・ビア

アロマ:幅広い芳香がありうるが、多くの製品でクリスマス・クッキー、ジンジャーブレッド[ショウガ入りクッキー]、イギリス風クリスマス・プディング、スプルースの木[いわゆるクリスマス・ツリーの木、トウヒ]、ムリング・スパイスを思わせる。ホリデー・シーズンを感じさせる芳香の組み合わせなら何でも歓迎される。下地となるビア・スタイルはモルトの輪郭を有するものが多く、スパイスあるいは他の原料に由来する芳香がバランス良く出るよう後押しをする。付加的な発酵性物質(例えば、ハチミツ、モラセス、メープル・シロップ等)はそれ独自の芳香を出すことがある。ホップの芳香は無しか、控えめまたは少々スパイス的なことが多い。フルーツの特徴(多くは乾燥した柑橘類の皮またはレーズンやプラム等のドライ・フルーツ)が任意だがあっても良い。アルコールの芳香が見られる製品もあるが、この特徴は控えめであること。全体的なアロマはバランス良く調和して無ければならず、かなり複雑で誘惑的なことが多い。

外観:一般には中庸のアンバー〜非常に濃い茶色(色の濃い製品がより一般的)。通常は透明だが、色の濃い製品ではほとんど不透明なこともある。チル・ヘイズは少々あっても良い。一般に良く形成された泡で、オフ白〜タン色であることが多い。

フレーバー:様々な解釈が可能で、でき上がりの製品がバランス良く、スパイスが利いている限り作り手の創造性を考慮すること。ホリデー・シーズンを連想させるスパイスが典型的(アロマの段落で述べた通り)。スパイスおよび任意の発酵性物質は支援的で下地となるビア・スタイルに良く溶け込んでいなければならない。濃厚、モルト的、甘いモルト主体のフレーバーが一般的で、カラメルやトースト、ナッツ、チョコレートのフレーバーを含むことがある。レーズン、プラム、イチジク、オレンジ・ピール、レモン・ピールと言ったドライ・フルーツや乾燥したフルーツの皮のフレーバーを含むこともある。特定の発酵性物質(モラセス、ハチミツ、ブラウン・シュガー等)由来の独特なフレーバーを含むこともあるが、これらの要素は必ずしも必要ではない。スプルース等の常緑樹[松柏類]の軽い特徴が任意で、いくつかの製品に見られる。幅広い特別な原料が下地となるビールの影を薄くさせるほど目立たず、支援的で良くバランスすること。苦味とホップ・フレーバーは一般的に控えめでスパイスや特別な原料と干渉しない。一般にフィニッシュは幾分フルで満足感があり、アルコールのフレーバーを有することも多い。ロースト・モルトの特徴は稀で、通常はチョコレートよりも強くない。

マウスフィール:幅の広い解釈が可能。ボディは一般にミデアム〜フルで、ある程度のモルト的な噛みごたえがある。やや弱〜やや強い炭酸が典型的。多くが良く熟成した、暖まる感じのアルコール量を示すが、過度に刺激的にならないこと。ビールは暖まる効果が出るほど過度に強い必要はない。

総合印象:より強い、より色濃い、スパイスが利いたビールで濃厚なボディと暖まるフィニッシュを持ち寒い冬に良く合う。

歴史:昔から、季節を楽しもうと旧友が集まる冬期休暇に、アルコールが多少高く濃厚なビールが楽しまれてきた。多数のブルワリーが独特な季節限定品を作っており、それらは通常のビールよりも色が濃く、強く、スパイスが利き、そうでなければ性格が強い。スパイスの利いた製品はアメリカまたはベルギーの伝統で、イギリスやドイツの醸造所では伝統的にスパイスは使わない。

コメント:全体的なバランスが良くできたクリスマス・ビアを語る上での鍵。特別な原料は下地となるビールを補完する存在であり、圧倒してはならない。醸造する側はビールと特別な材料の組み合わせによって良いものと悪いものがあることを理解しておくことが必要である。 エントリーする場合、使った特別な材料だけでなく下地となっているビア・スタイルを明記すること。土台となるスタイルやスパイス、特別な材料は特定できなくても良い。ビールにスパイスが入っていることは必須で、他の発酵性物質(糖類、ハチミツ、メープル・シロップ、モラセス、トリークル等)またはフルーツは入っていても良い。 下地となるビールが伝統的なスタイルの場合、アロマやフレーバーにそのオリジナル・スタイルの片鱗が伺えること。スパイス、ハーブ、付加的な発酵性物質が明記されている時はいつでも、各々がそれ相応に感知できで識別できなければならない(けれども独立して特定できる必要はなく、他の原料とバランスが良いことがやはり重要)。イングリッシュ・スタイル・ウインター・ウォーマー(クリスマス・エールのラベルが貼られる製品がある)は一般にスパイスが入っていないので、オールド・エールにエントリーすること。ベルジャン・スタイル・クリスマス・エールはベルジャン・スペシャルティ・エール(16E)としてエントリーすること。

原料:一般的にはエールだが、色の濃いストロング・ラガーもある。スパイスが必要で、多くはクリスマス・シーズンを喚起するスパイス(例えば、オールスパイス、ナツメグ、シナモン、クローブ、ショウガ)が入っているがどんな組み合わせも可能で創造性が奨励される。他のフルーツを少し加える様に、フルーツの皮(例えば、オレンジやレモン)が使われることもある。幅広いクリスタル・タイプのモルトが使われ、特にダーク・フルーツまたはカラメルのフレーバーを付加する。風味豊かな副原料が使われることが多い(例えば、モラセス、トリークル、転化糖、ブラウン・シュガー、ハチミツ、メイプル・シロップ等)。

諸元:OG、FG、IBU、SRM、ABVは下地となるビールによって異なる。ABVは6%以上が一般的で、ほとんどの製品が多少濃い色をしている。

市販例:Anchor Our Special Ale*, Harpoon Winter Warmer, Weyerbacher Winter Ale, Nils Oscar Julöl, Goose Island Christmas Ale, North Coast Wintertime Ale, Great Lakes Christmas Ale, Lakefront Holiday Spice Lager Beer, Samuel Adams Winter Lager, Troegs The Mad Elf, Jamtlands Julöl [*印は日本で入手可能と思われるもの]

2010年04月30日更新

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