5.ボック
5B.トラディショナル・ボック
アロマ:強いモルト・アロマで、多くは濃厚なメラノイジンやトーストのような含み香をわずかに有する。実質的にホップ・アロマはなし。アルコールは多少感じられることがある。クリーン。ダイアセチルは無し。フルーツのエステルは弱〜無。
外観:薄い銅色〜茶色で、多くは魅力的な深紅色の輝きがある。濃い色にもかかわらずラガーリングにより高い透明度を有すること。大きく、クリーミー、持続性のあるオフ白の泡。
フレーバー:メラノイジンやトースト風のフレーバーを作り出すミュンヘンやウィーン・モルトにより支配された複雑なモルト感。デコクション・マッシングや長い煮込みによるカラメル風味も感じられことがある。ホップの苦味は一般的にモルト・フレーバーを支えるのに不足のない程度で、フィニッシュに弱い甘味が残っても良い。十分に発酵が進み、甘ったるくない。クリーンで、エステルやダイアセチルは無し。ホップ・フレーバーも無し。ローストや焦げ風味も無し。
マウスフィール:ミデアム〜ミデアム・フルのボディ。中〜やや弱い炭酸。アルコールの暖かみが見いだされることもあるが、決して刺激的であってはならない。スムースで、ザラザラ感や渋味はない。
総合印象:色の濃い、強い、モルティなラガー・ビール。
歴史:北ドイツの都市アインベックが発祥で、ハンザ同盟(14〜17世紀)の頃は醸造の中心地で評判の良い輸出国であった。ミュンヘンでの改造が17世紀に始まった。“ボック”という名前はババリア方言の“アインベック”が訛ったものが元で、ミュンヘンにビールが渡ったあとから使われ出した。“ボック”にはドイツ語で“雄ヤギ”という意味もあり、よくロゴや広告に使われる。
コメント:デコクション・マッシュと長時間煮沸がフレーバー生成に重要な役割を果たし、モルトのカラメルやメラノイジン・フレーバーが増強する。どんなフルーツさもミュンヘン・モルトおよび他のスペシャル・モルトによるもので、発酵時に生成されるイースト由来のエステルではない。
原料:ミュンヘンおよびウィーン・モルト、極少量の濃色焙煎モルトが色調整のために稀に使われるが、モルトでない副原料は使われることはない。ヨーロッパ大陸産のホップ種が使われる。クリーンなラガー・イースト。水の硬度はまちまちだが、ミュンヘンではやや炭酸塩を含んだ水が典型的。
諸元:OG:1.064 - 1.072, FG:1.013 - 1.019, IBUs:20 - 27, SRM:14 - 22, ABV:6.3 - 7.2%
市販例:Einbecker Ur-Bock Dunkel, Pennsylvania Brewing St. Nick Bock, Aass Bock, Great Lakes Rockefeller Bock, Stegmaier Brewhouse Bock [日本での入手は難しい]
2010年04月17日更新
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